第98話

「ベビーカーを実際に押したいだけなら、別のところで買いましょう。えーっと、さっき見たベビーカーでホテルでの貸し出し用に検討するというのであれば見に行ってもいいですけど……実際に押して歩きたいならもっといいベビーカーが売ってる場所があります」

「もっといいベビーカー?」

 社長が首を傾げた。

「少し歩きますけれど、大丈夫ですか?」

「ええ、もちろん。どこまでもついていきますよ。案内役を頼んだのは僕の方なので」

「でも、重たくないですか?」

 今買った荷物に視線を送る。

「大丈夫です。運動は嫌いですが、体は動かしているのでこれくらいは……」

「ああ、健康のためにスポーツクラブとかですか?」

 あ、違うか。なんかお姫様抱っこがどうとかいうときにもこんな会話した気が……。

 トレーニングルームに通おうかと言っていたよね?

 そうか。ホテルにトレーニングルームがあるから、わざわざスポーツクラブに通う必要がないんだ。

「いえ、ゲームで……あ、いや、あの、ゲ、ゲームって言っても、その」

 社長が慌てて言葉をつづけようとする。

 ゲームという言葉に、優斗と社長が仲良くゲームをしている姿が頭に浮かんだ。

 って、違う。きっとそういうゲームじゃないよね。そう、体を動かすって言えば。

「もしかして、リングなんとかとか、ボクサイズなんとかとか、ダンスなんとかとか体を動かすゲームですか?ヨガとかもありますよね。子供がゲーム機は持っているので、ちょっと気になっていたんです。社長くらい忙しいと、スポーツクラブに通う時間もなくて家で体を動かしているんですよね?おすすめとかありますか?」

 そっか。ホテルのトレーニングルームを利用しているわけでもなくて自宅で体を鍛えているんだ。

 確かに自宅であれば大掛かりなトレーニング用の機械を置くのは大変ですよね。

「一緒にゲームをするなら、パーティーアクションというジャンルの体を動かすものが楽しく続けられると思う」

 一緒にという言葉にどきりとする。

 また、頭には優斗と社長が仲良くゲームをしている姿が浮かんだ。

「そんなこと、あり得るわけないのに……」

 口をついて言葉が出た。

「そ、そうですよね!僕と春子さんが、一緒にゲームをするなんて、そのっ」

「え?私と、社長が一緒に?」

 思ってもないことを言われてびっくりして高い声が出る。

「パーティーアクションのゲームを、普段は一緒にしない人がする……?パーティーを私と社長がすることはないってことですよね?」

 出向してはいるけれど、会社は違うから忘年会や謝恩会とかに私が招かれるようなことは無いということかな?



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更新が開きすぎて忘れられていると思いますが、二人のこと、私は忘れていません!

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