奇談好き紫桃君の有給休暇は 霊感ありコオロギさんに会いに行くためにある

 霊感は無いけれど奇談に興味のある紫桃君が、日常過ぎて自覚していないけれど霊感のあるコオロギさんに、妖にまつわる体験談を聞きに行く有給休暇日の物語。

 コオロギさんの経験は、本人があまり意識していなかったり、逆に敏感に察して気を付けていたりするので、怖くて危険すぎるレベルはちゃんと回避されています。
 でも、日常の中にするりと入ってくる五感で感じる経験談は、とてもリアルでちょっと背筋がゾクリとします。

 どんなに科学が発達し多くのことが解明されても、妖の存在を否定することは出来ないのです。

 そんな二人の会話は、時に人生について素敵なヒントをくれたりもします。
 
 紫桃君とコオロギさんの関係? 気になりますよね。
 二人の会話は穏やかで、ほのぼの。
 読んでいる私たちはニヤニヤジレジレ。
 まだ友人以上にはなっていないにも関わらず、その距離感が信頼に満ちていて心地よいのです。いつまでも二人の会話を聞いていたくなるくらい。

 こちらの作品、同じ作者様の『ホラーが書けない』と言う作品の続編になっているのですが、そちらを読んでいなくても楽しめます。でも、紫桃君とコオロギさんの出会いが書かれていますので、合わせて読むとより一層楽しめます。

 ほっこり系ホラーとも呼べる本作品、是非皆様も体験してみてください。
 お勧めです!

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