母から娘へ引き継がれる愛。しば桜の咲く家の庭に、いつでも帰っておいで

大正から令和にかけて、母娘3代に渡って引き継がれていく愛を描いた物語です。
本作はとりわけ、「家庭の中の女性」の人生にスポットを当てているように感じました。

運命の男性との出会いの傍らに、いつもしば桜がありました。
彼女らの家の庭に咲き、時に語りかけ、人生の節目節目を見守ってきたしば桜。
まるで無償の愛を象徴するかのようです。

時代の流れと共に、女性をとりまく価値観は変わっていきます。
それでも、家族を愛することは、どんな時代でも素晴らしいことです。
主人公・櫻絵さんの伴侶となる男性・寧くんの柔軟な価値観がとても現代的で、「家庭の中の女性」をメインにした話であっても決して古臭くならないバランス感が絶妙でした。

しば桜の声を聴く役割は、さらに次の世代へ。
家庭の中で育まれた愛から、次の愛が生まれる。
明るい未来が見える、とても温かく幸せなラストシーンでした!

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