概要
美しい“心”の彼と汚い“心”の私。いつまでも一緒にいたい。だから――
人はそれぞれの“心珠”をもって生まれる。
本人が念じれば手の中で出現させられる“心珠”は、欧化が進む今日でも未だに謎に包まれたままだ。
“心珠”には、ひとつとして同じものがない。それぞれがそれぞれの色と煌《きら》めきを宿している。
(本文より抜粋)
女性医師の縫《ぬい》は、自宅の敷地で診療所を開きながら、“心珠《しんじゅ》”に関する相談にも乗り、研究をしている。
齢二十八にして、独身。世間では、とっくに結婚して子がいる年頃だが、縫は色々と逸脱しすぎている。それをとがめる両親祖父母も、今はいない。
先輩医師にして下宿人の男性、安利《あんり》とは深く想い合う仲だ。
汚い“心珠”だと卑下される縫を、安利は「可愛い」と褒め、縫に寄り添う。
「いつまでも一緒にいよう。そのためなら、俺は何だって
本人が念じれば手の中で出現させられる“心珠”は、欧化が進む今日でも未だに謎に包まれたままだ。
“心珠”には、ひとつとして同じものがない。それぞれがそれぞれの色と煌《きら》めきを宿している。
(本文より抜粋)
女性医師の縫《ぬい》は、自宅の敷地で診療所を開きながら、“心珠《しんじゅ》”に関する相談にも乗り、研究をしている。
齢二十八にして、独身。世間では、とっくに結婚して子がいる年頃だが、縫は色々と逸脱しすぎている。それをとがめる両親祖父母も、今はいない。
先輩医師にして下宿人の男性、安利《あんり》とは深く想い合う仲だ。
汚い“心珠”だと卑下される縫を、安利は「可愛い」と褒め、縫に寄り添う。
「いつまでも一緒にいよう。そのためなら、俺は何だって
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!それが貴女の心を表すから、俺は貴女と一生共にしたいと願うんだ。
主人公は女医をしながら、心珠というものの研究をしていた。心珠とは、その人の心を反映するとされる未知のものだ。掌に、望めば心珠は出現して、見ることもできるが、まだまだ謎が多い。主人公はこの心珠が汚いというだけで、他人に見下され、自分にも自信が持てなかった。そして、先帝の死に殉じた家族の生き残りとして、世間からも見下されていた。
そんな主人公に寄り添う、一人の男性医師がいた。主人公を心から愛し、汚い主人公の心珠を綺麗だと言う。彼は家族に主人公に酷いことを言われたために、主人公の家で一緒に暮らしていた。
そんな中、主人公は勤めていた病院から追放命令を出され、男性医師とも離れてしまう。主人公は…続きを読む