主人公は女医をしながら、心珠というものの研究をしていた。心珠とは、その人の心を反映するとされる未知のものだ。掌に、望めば心珠は出現して、見ることもできるが、まだまだ謎が多い。主人公はこの心珠が汚いというだけで、他人に見下され、自分にも自信が持てなかった。そして、先帝の死に殉じた家族の生き残りとして、世間からも見下されていた。
そんな主人公に寄り添う、一人の男性医師がいた。主人公を心から愛し、汚い主人公の心珠を綺麗だと言う。彼は家族に主人公に酷いことを言われたために、主人公の家で一緒に暮らしていた。
そんな中、主人公は勤めていた病院から追放命令を出され、男性医師とも離れてしまう。主人公は理解ある人々のもとで暮らしていたが、一人、男性医師に会いに雪国をたずねる。そこで出会ったのはかつて「あね」と慕っていた女性だった。
しかし――。
主人公の過酷な過去が胸に刺さり、純粋な主人公の心に共感しました。そんな主人公を取り巻く人々の優しさに、癒される作品でした。
自然の透明感と季節感あふれる描写が見事に、主人公たちの心情と重ね合わされ、とても美しい映像となって目に浮かびます。
食事の場面も多い作品で、その料理や食事の場面がとても美味しそうでした。
是非、是非、御一読下さい!