知る、理解する、体験する

第一話を読んで、書き手のじょえさんは「病み」に実際に触れたことのある方だと確信しました。「ジャンル・ノンフィクションなのに何言ってんだ?」と思われるかもしれませんが。
奥さんのこと、疾患のことを「理解しよう」という姿勢、素晴らしいです。もちろん常にそういった姿勢であり続けることは途方もなく難しく、むしろ文章化されていないところに想像も絶するような苦悩があるのだと思います。
重すぎず、暗すぎず、そして読みやすく綴られた内容からは自他への配慮を感じます。作中での言葉どおり、不謹慎ながら興味をそそられます。

読み手はこの作品をファンタジーのような感覚で読むでしょう。そして、他人事として「大変」という感想を抱くでしょう。
そこからどうかもう一歩、二歩と進んで、実際に自分の身に起こったことのように想像してみてほしいと思います。書いてあること以上の凄絶さを「体験」することができると思います。

この作品を書くことは重労働でもあると思います。
無理にならない範囲で、これからも丁寧に書き続けていただきたいな、そしてそれを覗かせていただきたいな、と思います。

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