第6話 ここはきっとモフモフ天国



 一泊して、翌日の朝。


「おはよー」

「あ、おはよ」

「ホントにここに泊ったのかよ」

「良く寝れたー?」


 寝ぼけ眼で洗面場へと向かう私に、色んな声が掛けられる。

 それらは全て足元をすり抜けていくモフモフのキツネたちで。

 

「ていやぁーっ!」

「何おうっ?!」


 走ってきた子狐に後ろから追いすがった子狐が絡まりついて、私の進路をふさぐ形でコロコロ転がり通り過ぎていく。

 と。


「こらーっ!! 朝っぱらからドタバタしない! ……あっ、おはようございます紬さん。騒がしくてすみません」


 後で追いかけてきたメス狐が私にペコリと謝罪をしてきた。


 人ととして、というか大人の礼儀として流石に無視する訳にはいかずに「……ダイジョブです」と言葉を返せば、本当に申し訳ないという顔をしたそのキツネが次の瞬間、子ぎつねたちの首根っこをムンズと掴んで二足歩行で引きずっていった。

 


 と、そんな私たちのやり取りが聞こえたのか。

 台所から人型キツネが顔を出す。


「おはようございます、紬さん。すぐにご飯お持ちしますね」

「……うん、オニキスありがとう」


 言いながら、顔を洗おうと洗面所に行く。

 


 昨日の晩御飯。

 出来合いのものを買って帰ろうとしていたら、オニキスに「僕が作りますよ?」と言われた。

 やらせてみたら実に美味しい和食が出てきたから、実は朝食も密かに期待していたりする。



 さてしかし、今日は忙しくなる。

 ご飯を食べたら、まずは両親の所に行って話をしないと。

 「私あの家に住みたいんだけど」って。



 ~~Fin.

――――――


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拝啓、お祖母ちゃん。貴女が遺した古民家で『お護り騎士』と出逢いました。 ~私を導くパワーストーンは人語をしゃべる妖狐くんです~ 野菜ばたけ『転生令嬢アリス~』2巻発売中 @yasaibatake

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