第3話 ギロチンスライス
(シャー、シャー、シャー)
何か機械が動いている音がする。何かが振
り子のように右に左に揺れているようだ。目
を凝らしてみる。判った。大きな刃物だ。
大きな刃物が天井にある支点を中心に振り
子のように揺れている。鋭利な刃物がちょう
ど当たるところに木の台が備え付けられてい
る。台には切れ込みが入れられており、その
隙間を刃物が通っているのだ。、何かを切り
刻む装置のようだ。
待て。私は今、どういう態勢なのだ。動け
ない。縛り付けられているようだ。台に縛り
付けられている。
「危ない、近づいてくる。おい、誰か居ない
か?」
返事はない。私が縛り付けられている台が
徐々に大きな刃物が揺れるところに近づいて
ゆく。
「誰か、このままでは切り刻まれてしまう。
助けてくれ。」
相変わらず返事はない。何故私はこんな目
にあっているのだ。谷何者かに拉致監禁でも
されたのか。全く記憶にない。理由も判らな
い。誰かから恨まれるようなことをした自覚
もない。これほどのことをされるとしたら、
よほど酷いことをした結果だと思うが、全く
心当たりがなかった。何かの逆恨みだろうか。
そんなことに頭を巡らせる時間はなさそう
だ。刻一刻と振り子刃物が近づいてくる。こ
のままだと駒切れにされてしまう。
昔見た映画のような状況か。それなら何か
回避する手段が用意されているはずだ。しか
し、どう見ても身動き一つできない状況で何
かが出来そうにはなかった。
もう駄目だ。足の先が刃物に触れる。
「ぎゃあ。」
あとはスプラッターだった。足の先から徐
々にスライスされていく。思ったほどは血が
噴き出したりしない。ただ、この刃物は骨も
スライスできるほど鋭利だった。痛みは永遠
に続く。肋骨すらスライスされてしまう。
さすがに心臓をスライスされたときは血が
夥しく噴き出した。この時点でも意識は無く
ならなかった。
「やめてくれ、もう殺してくれ。」
首までスライスされた。まだ意識は奪われ
なかった。もう顔だ。そして頭、というか脳
まで。その状態でさえ痛みやスライスされて
いる感触があった。眼球もスライスされたの
で見えはしない。すべてがスライスされたと
き、やっと意識が遠のきだした。これで死ね
る。やっと死ねる。死が救済になるとは。
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