第3話 暴力
父は暴力とヒステリーの人だった。おまけに酒乱。
幼い頃に叩かれて鼓膜を抜いたことのある私は、身に染みて分かっていた。だが、どんなに注意しても父の機嫌が悪ければ、なんでも暴力の対象になった。帰りが5時半では遅い、机の上がごちゃごちゃしている、口ごたえをした、考え付く限りの動機は無数にある。
森はますます暗くなり、寒く、生き物の声さえしなくなっていった。 そんな森でも、進まねばならないのだ。母をかばい、身を護りながら出口を目指してとにかく進んだ。足は痛み、目が見えなくなっていく。それでもゆかなければ、追い付かれたらきっと、あの父はまた酷く私を殴るだろう。 追い付かれては殴られ、隠れてやり過ごす。それの繰り返しで、明るい光なんてどこにもなかった。出口なんて尚更。
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