第2話 終わりの始まり
父の今回の浮気は酷かった。家族で食事をしていても、愛人から電話があるともう、どろどろに溶けたような顔で、うきうきと出ていってしまう。
母は泣いていることが多かったように思う。スマホを持たず、また、狭く壁の薄い我が家では、内緒の電話は不可能。なので、よく夜中に家のそばの公衆電話で、実家のそばに住む友人に電話をかけに行っていた。それを父が嗅ぎ付けると、ドアチェーンをかけてしまう。それを外すのは、寝たふりをしている私の役目だった。私は小学生ながら考えて、六法全書を手に入れて、必死に読んだ。
家族が、少しずつ壊れる音を聴きながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます