第4話 登校拒否

 中学に入って、ますます父のDVは酷くなり、馬乗りになって殴り続けられたこともある。なにしろ、気に入らないのだ、私が。自分と顔も思考回路も似ているのが、父の神経を逆撫でするらしい。おまけに要領のいい私は、すっかり調べあげて、勝手に離婚届を提出できない手続きがあるのに気がついていた。私が、大人になるまで、せめて母を支えられるようになるまでは、父に給料を運ぶ役割から降りて貰っては困る。すぐその手続きをした。ずっと専業主婦だった母も、働き始める。父の支配から自立するにはまだ早い。このひとは、私では稼げない金額を稼いでくるマシンだと、思うことにした。

 そう割り切って、いたはずなのに。


 朝になると、決まって胃を引っくり返すような痛みが襲う。あまりの痛さに身動きが取れない程に。色々と病院をはしごしたが、原因は分からず、ストレス性のものと診断された。当然、学校も休みがちになる。

 そうなると父が出張ってくる。精神が弱いせいだ、お前は中学を出たらウェイトレスになって稼ぐしかない、散々言われた。


 が、意外なことで学校に行けるようになる。それは、胃痛の薬を飲んでひと眠りしたあとにテレビをつける。すると毎日、日替わりで色々なタレントがダルいコメントを吐いたり、面白くもない芝居をしている。それが、自分の生活に食い込んできたのを感じたのだ。このドラマ、昨日までああいう展開だったな、というのが理解できてしまう。ダメだ、格好に行かねば。こんな昼のドラマのストーリーを、しっかり追えてしまうのはまずい。

 そうして私は学校にまた、通い始めた。人間、意外と単純なものである。

 

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