第5話 お姉ちゃん、ごめんなさい
お姉ちゃん、お姉ちゃんごめんなさい。
わたしは我儘な妹でした。最悪の妹でした。お姉ちゃんが痛いのも苦しいのも、それでもなんとか許してくれているのも、そんなお姉ちゃんの都合をまったく考えずに、ただ私利私欲のためにお姉ちゃんを殺し続けてしまいました。
それどころか、いつしかお姉ちゃんを殺すことに恍惚とした興奮をしていたのです。お姉ちゃんを殺したくて、殺したくて、どうやって殺すかって……どんな理由があれば殺してもよくなるかって、そんなことばかり考えていたんです。
お姉ちゃんを殺すのが癖になってたんです。お姉ちゃんを殺すことが、人生で一番好きなんです。
優しいお姉ちゃん。やわらかいお姉ちゃん。いい匂いのお姉ちゃん。ふわふわしたお姉ちゃん。そんなあなたが、きれいな顔をぐちゃぐちゃに歪め、大きな声を出したりあるいは呼吸が乱れ、とびきりの苦痛を感じながら惨めに終わっていく、その瞬間がすきなんです。その瞬間のお姉ちゃんが、この世界の全ての中で一番かわいいんです。お姉ちゃんを殺すのがすきですきで、もう、それ以上の娯楽はわたしのなかに見出せそうにありません。
お姉ちゃんを殺さない人生なんて考えられない。
お姉ちゃんを殺すことでしか、わたしは気持ちよくなれない。
―だけど、そんなの迷惑ですよね。
そんなの、お姉ちゃんがかわいそう。お姉ちゃんに、わたし、ずっとひどいことをしていたんだ。だけど、わたしは本当にほんとうに、お姉ちゃんを殺すことをやめられそうにないんです。
だから、死にます。
もうお姉ちゃんを傷つけないで済むように。もう迷惑をかけないように。もう、こんな最悪な気持ちを、こんな最低な気持ちよさを、ぜんぶおわりにするために。
お姉ちゃん、幸せになってね。もう殺されちゃだめだよ。ごめんね、おねえちゃん。
さようなら。
+
そう手紙を書くと、わたしは、致死量の薬を飲みほした。
(つづく)
【殺伐姉妹百合】お姉ちゃんと私の殺人ループ【不死身姉×殺意妹】 テウテウ @masashi_kyusai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【殺伐姉妹百合】お姉ちゃんと私の殺人ループ【不死身姉×殺意妹】の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます