赤と緑の色彩が、2人の世界に線を引く
- ★★★ Excellent!!!
読んでなるほど、これは軽々しくレビューは書けないな、と思った。
今、打つキーボードの指先も重い。
テーマに沿うならば、ぺらりとした油揚げにどっしりとしたうどんが合わさるように、或いは、するするといけるそばに食感と食べ応えを与える天ぷらのように。
自分で書いておいて一瞬、何を書いているんだ? とも思うが、それくらい組み合わせ、完成度の高い短編――世界――と感じたからである。
ある異性との別れと理由も、この同性との出会いと生活も、赤いきつねと緑のたぬき両カップ麺を絡めてくるあたり、ガジェット<気の利いた小道具として機能している>だ。
それだけでなく、赤と緑の色彩が、『僕』と『彼』、2人の世界に線を引くのだ。
これは、うまい。
想像するしかない、同調の出来ない主観的な世界。
理解は出来ずとも、何か、とても小さな価値観は、共有を出来る。
2人が共に有ることと、想いのベクトルが交わるところ、そう、それを幸せと呼びたいと思う。