赤と緑の色彩が、2人の世界に線を引く

 読んでなるほど、これは軽々しくレビューは書けないな、と思った。
 今、打つキーボードの指先も重い。

 テーマに沿うならば、ぺらりとした油揚げにどっしりとしたうどんが合わさるように、或いは、するするといけるそばに食感と食べ応えを与える天ぷらのように。

 自分で書いておいて一瞬、何を書いているんだ? とも思うが、それくらい組み合わせ、完成度の高い短編――世界――と感じたからである。

 ある異性との別れと理由も、この同性との出会いと生活も、赤いきつねと緑のたぬき両カップ麺を絡めてくるあたり、ガジェット<気の利いた小道具として機能している>だ。
 それだけでなく、赤と緑の色彩が、『僕』と『彼』、2人の世界に線を引くのだ。
 これは、うまい。

 想像するしかない、同調の出来ない主観的な世界。
 理解は出来ずとも、何か、とても小さな価値観は、共有を出来る。
 2人が共に有ることと、想いのベクトルが交わるところ、そう、それを幸せと呼びたいと思う。