武装せる予言者はみな勝利を占め、備えなき予言者は滅びる

未来予知を口にする謎の怪異に遭遇した青年の物語。予知される未来は「きょう」のことに限られており、明日以降のことが予言されることはない。つまり、「きょうを読む人」なわけである。作中、主人公が不用意に予知を口にして人望を失うシーンはひんやりと冷たい手触りがあり、いかにもホラー然としている。いみじくもニコロ・マキアヴェリが言ったように、『武装せる予言者はみな勝利を占め、備えなき予言者は滅びる』のである。