今こそホムンクルスに、 華麗なるパピヨンに生まれ変わるんだ

 凡庸なことを言うようで申し訳ないですが、まず一言で感想を言います。「面白かった」です。率直に、そう思いました。かなり奇想天外なアイデアで書かれた、ホラーなのかシュールギャグなのか見極めの難しい作品ではあるのですが、ともかく、総合的に一言で言うと面白かった、という言葉でまとめるのが一番しっくりきます。

 まず、「人が神になる」。それも、多神教的なニュアンスでの、例えば菅原道真公みたいなアレではなく、かなり造物主みのあるでかい神様になってしまう。そして、どうしてそういうものになれたのか、それはどのような存在であるのか、特に説明らしい説明はない。いや、これは無くていいんです。どんなに言葉を尽くしても多分条理を通すのは無理でしょうし、力強く「なれたんだからなれたのだ」と押し通した方が小説として強いので、これでいいと思います。

 ある意味では悪夢のような結末ではありますが、しかし、もしかしたらこれは神による導き、人が新たなステージに向かう的な何かであるのかもしれず、まあ、いいんじゃないかな?(雑)というわけで、何度も言うようですが、面白かったです。