最終話 恐怖の管理人
死者が住まう恐怖の市営団地、その調査も大詰めを迎えた。
なので最後は、この市営団地の管理人さんについて調査しようと思う。
この市営団地を調査するに当たって、市役所に恐怖の市営団地についての詳細を聞いていた。その時になぜか、管理人のことについては言いたくないと言われた。
なぜ言いたくないか聞いてみたら、「あの管理人は、人とは思えないほど頭がおかしかった」ということだ。
あの管理人がもしこの市営団地で自殺したのなら、どういう人物か解るはずだ。
そして私は、一階にある管理人室へと足を踏み入れた。
するとそこには、お化け屋敷以上の陰湿な空間が広がっていた。窓の暗幕に、わざとつけていない電気、そして怪物や幽霊らしき人形やフィギュア。
「フヒヒヒ、魔方陣はこれでよしと。」
私の目に映った男は気味の悪い笑顔を浮かべていた、しかも男のいる辺りには魔方陣が書かれている。
「この男は今から何を始めようとしているんだ?」
何かの儀式を始めようとしているとしか思えない、これは確かに頭がおかしいと言ってもいいだろう。
市営団地の管理人とは思えないこの男は、この後部屋から出ていってしまった。
それからしばらくして男が帰ってきた、男は手に茶色の髪の毛を持っている。
「フヒヒヒ、これで憑依儀式を始められる」
憑依儀式・・・、一体どんな儀式なんだ?
男は茶色の髪の毛を腹に穴を開けた人形の中に入れると、魔方陣の真ん中においた
「これで、これで・・・、後はおれがこの命を捧げれば、彼女になれる!」
「命を捧げるって・・・!!」
そう、この男は憑依儀式を成功させるために、自分の命を使うというのだ。
今までの死者は突然の不幸や心の不安によるものだったが、この管理人の動機は明らかに違うものだ。
男はナイフを取り出して、刃先を喉元に向けると呪文を言った。
「ハリャナスマトク・ナサヤラタカサク・ヤラサキナホム!!」
そして男は呪文をいい終えると、ナイフを自分の喉元に突き刺した。
男の喉元から血が溢れ、魔方陣を赤く染めていく。
そして死んだ男は笑みを浮かべていた、私は気持ち悪くなって吐きそうになるのをこらえながら、部屋から出ていった。
後の調査でこの出来事がニュースで報じられ、「儀式に身を捧げた男」として話題になった。
この管理人は、市営団地の三階に住んでいた女性に惚れ込んでしまい、アプローチを重ねたが上手くいかず、それなら自分が彼女に憑依して乗っ取ってしまおうという恐ろしい考えを思い付いた。
そしてネットで見つけたのが、この憑依儀式。そして男は儀式に必要な相手の髪の毛を手に入れるために、帰宅しようとした女性を捕まえて髪を切ったのだそう。
その後女性は警察に通報し、警察が男の部屋に入ったときには、すでに男は死んでいたという・・・。
これでこの恐怖の市営団地の調査は、終了とする。
幻荘・死者の団地の記録 読天文之 @AMAGATA
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