第5話 思い出

「思い出」


少しだけ曇りかけた午後だった

この道をたどることで

あの頃の幸せを思い出そうとした

苦しいだけのことだった


少しだけ赤くなりかけた空だった

この景色を見つめることで

あの頃のときめきを取り戻そうとした

辛いだけのことだった


秋が輝く空と

穏やかな休日の午後と

虚しさを噛みしめた心が同居して

枯れ葉のように舞っていた


少しだけ夜になりかけた街だった

部屋の灯りをつけて

この場所で

また明日を生きていこう

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