概要
昭和九年、文士と妻の武蔵野。
昭和九年、初冬。荻窪に住む物書きの「私」が、妻と喧嘩して酒場に出る。そこで出会った作家の男に、仲直りに郊外に散歩に出るように勧められる。
二人で連れ立って、甲武鉄道に乗り国分寺村に出掛ける。
偏愛する中央線沿線。昭和の文士の愛した、武蔵野に捧げる物語。
二人で連れ立って、甲武鉄道に乗り国分寺村に出掛ける。
偏愛する中央線沿線。昭和の文士の愛した、武蔵野に捧げる物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!昭和九年の武蔵野がここにある。夫婦の愛情と清流のような言葉とともに。
昭和九年を彷彿させる言葉で描かれている。だがとっつきにくいかと思えば、するすると物語に引き込まれて行く。その言葉も文化も生活も何に違和感もなく受け入れられる。まるでその時代にタイムスリップしたように。
荻窪の喧騒やそこを練り歩く文士たち。おでん屋の匂いまで感じられる。終わりのない議論、大きな声、喧嘩にまで発展しそうな熱さ。そんなエネルギーの中、そこに憧れながらも飛び込んでいけない主人公の葛藤。
その主人公は情けないのではなく、愛すべきもの大切にすべきものが何なのかを深く理解している。この夫婦は深いところでお互いを思いやっているのだ。それは現代まで脈々と受け継がれている。
変貌していく武蔵野の…続きを読む