馴れ初め02
翌日、学校に着いてスマホを見ると、月夜見からの連絡が入っていた。
『終わったら連絡してくださいね!』
一緒に帰る約束をしているためか、月夜見からの連絡は上機嫌な雰囲気を感じ取れる。
それを見ていた僕は恥ずかしながら広角が上がっていたのかもしれない。
「どうかしたの小竹くん。ずいぶんと楽しそうな顔をしているようだけど」
「珍しいね、朔太郎。ずいぶんとご機嫌に見えるけれど、何かあったのかい?」
面白いオモチャを見つけたような顔で話しかけてきたのは
幼馴染である双子の土御門姉弟は、僕が通う田舎の進学校の中では超が付くほど有名だった。
土御門の家は僕みたいな一般人が想像もつかないような金持ちで、田舎ならではの莫大な敷地に、城か何かと見間違うほど大きな屋敷が建っている。
土御門家はこの田舎町では有名な病院を経営しており、土御門姉弟も飛び抜けて優秀であることは周知の事実でありながら、医者の子だから当然のように医者になるんだろうな、と誰もが思っている。
「ちょっと。私が小竹くんと話をしているんだけど」
「いやいや。俺が朔太郎と会話をしているのに間に入らないでくれるかな」
土御門姉弟は仲が悪い。
それもまた、有名なことである。
僕と土御門姉弟は幼馴染で、どういうわけか、土御門姉も土御門弟も、ややこしいことに昔から僕のことが好きだった。
語弊があるかもしれないから説明すると、当然、幼馴染かつ友だちとして、である。
「朔太郎のことは俺が一番理解しているんだ。そうだろう、朔太郎」
土御門弟がシャープな眼鏡のブリッジを中指で持ち上げながら僕に顔を近づける。
「昔から小竹くんの相談事に耳を貸していたのは私なのよ。そうよね、小竹くん」
土御門姉が肩にかかった長い髪を手の甲で払いながら僕に顔を近づける。
「まあ……、今回は二人に話を聞いてもらおうかな」
「小竹くんがそう言うなら仕方ないわね」
「朔太郎がそれでいいなら仕方ないね」
こういうやり取りも日常茶飯だった。
頭のいい土御門姉弟は僕の身辺の変化に当然ながら勘づいている。
この二人からの問い詰めに逃げられるはずもなく、僕は月夜見とのことについて話すことにした。
青春色の彼岸花 結香 @yuka0107
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