誰にでもあるであろう、懐かしい光景。

確かに、懐かしい光景。
本当に何気ない、変哲のへの字もない、そんな日常の中にあったもの。
それは、失われたときにこそ、そのかけがえのなさを知るものです。

確かに確かに、私にも、同じような経験があります。
ラーメン屋ではなくて、カレー屋だけど。
大検をとって現役で大学に合格し、逃げるようにそれまでいた養護施設を飛び出し、かつてその養護施設があったその近くにある国立大学に進めた。昼間は自転車で30分はかかる郊外の印刷会社まで行って正社員として働いた。二部の講義が終わった後や、休みの日などには、そのカレー店によく行った。
19歳でコンパの2次会の途中で急性アル中になって救急車で運ばれて、帰ってきたその日の昼にも、そのカレー屋に行った。
頼んだのは、一番安いコロッケカレーの大盛の大辛。これで、腹が膨れた。
コロッケばかりではということで、時に奮発してカツカレーなども食べた。
大学卒業後も、機会があればたまには行っていた。移転して、つい数年前まではされていたが、結局今は、廃業(転業?)されてしまった模様。

もっとも私の場合は、その店以外にも、カレーの店を見つけて、そちらにも足を運んでいます。いろいろ、楽しめています。
だけど、あのカレー屋の味は、忘れられません。

この作品を読めば、きっと、誰もが経験している、「失われた何気ない日常」が、何かのエピソードとともに、思い出されるでしょう。