誰の心にも潜む黒い感情を描いたサイコホラー中編

いじめられていたために今の学校に転校してきた主人公まいは、新しい学校で隣の席になった男子、地村をさしたる理由もなく拒絶します。
「身体が臭い」「見た目が気持ち悪い」「忘れ物が多い」そんなちょっとしたことなのですが、クラスという小さな社会の中で劣ったところがある人間と仲間として対等につきあうのではなく見下すことで自分の立場を守ることを選択します。

積極的ないじめではないにせよ、地村と口もきかず関わらないようにする彼女の行動は、一見クラスの中で上手く立ち回っているように見えたのですが……。

主人公の行動は正しいとは言えません。
しかし「自分より下の人間をみて安心しようとする気持ち」は誰にでもあるものです。
ちょっとした好き嫌いの感情や周囲の雰囲気、環境といったものに流されて、他人を傷つける人間の弱さがこれでもかというほどのリアリティと情感のこもった文章でつづられています。

読んでいて悲しくつらい衝撃に襲われますが、こういう人間のどうしようもなさを表現するのも間違いなく物語の役割の一つであり、この作品はそれを存分に果たしています。

サイコホラーが好きな方には特におすすめです。