最高峰の文章力に深く優しい内容。私達が忘れた何かを思い出させてくれる。

この物語は、盲目であるがその代わりに霊的な存在を見ることができる青年「朝香」と、元狛犬の盲導犬「明」生前の記憶がない幽霊の少女「ユウ」の中心に据えて進んでいきます。

物語の大筋は、移ろいゆく世界の中で、唯一その瞬間を変わらぬものにできる「写真」という物に、人の様々な思いを知りそれがまた繋がることの願いを込めて、渡していく……というものです。

文章は多彩な表現が用いられ、その言葉のチョイスもとても美しいと思いました。読んでいるとそのキラキラとした光景が鮮明に浮かび上がってくる感覚です。
正直、今まで自分が書いていたものは小説じゃないな、と心の底から思ってしまうくらい圧倒的な文章力でした。

この作品は以前「疲れた社会人への癒し」というような企画に参加していて、私もぜひそのような人にこそ読んで欲しいと思いました。
また、ざまぁ、NTR、ハーレム、チート、バトルといった刺激を求めた作品が流行っている今、若者……主に人格形成に大きな影響を受ける「10代」の子に是非読んでほしいです。

本来なら、ネット小説として無料で公開されるような類のものではないと思います。
そういう内容ですしクオリティです。
なので、ぜひ皆さんも読んでみてください!