エピローグ2
玖珂湊が自殺し、翼優愛がいなくなってから数日後。
魔術師上層部では事情聴取や、今後の対策などについて会議が行われていた。
そこに悠莉も呼ばれていた。
「悠莉、今回起こったことを説明してくれ。あいつは信憑性がない」
あいつ、というのは玖珂たちを追い詰めた上層部の奴のことだろう。
「じゃあ、説明しますと、約9年前、当時東京校高等部2年だった翼優愛が禁忌とも言われている術式を使ったことにより、魔力多量障害となり、死亡した。唯一の同級生だったのが玖珂湊です。そして今年、玖珂が仕事で行ったところで翼と再会した。玖珂は当然殺せるわけなく、仲間にした。ということです」
「ほぅ……やはり食い違っているな。よかった。君にも聞いておいて」
「あいつはなんて言ってたんですか」
「玖珂が翼を召喚したみたいなことを言っていたよ」
「そうですか」
「まあ、ここは君を信じるよ」
「ありがとうございます」
尋問はすんなりと終わった。
◇◇◇
「ではここから対策会議を始める。対策案は悠莉に任せてあるわけだが、何かいい案はあるかい? 悠莉」
「まあ、考えてはきましたよ」
「では発表してくれ」
悠莉は前に出て、発表を始めた。
「1つ目は魔術師の仕事中の死者を減らすこと。2つ目は今回起こったことを教訓とし、再発防止に努めるということ。この2つが考えた案です」
「具体的に何を?」
「1つは怪物1体にかける魔術師の数を増やすこと。学生は特にです」
「でもそれでは、今までのような回し方は出来なくなりませんか?」
「それはそうですね。何か起こってから対応することが多くなると思います」
「それでは一般人の死者が増えるのでは?」
「今回、翼優愛は何もしていません。襲わないという約束をしていたとのことです。なのに無理に倒そうとした結果が今回の件です。そういう怪物もいることを考慮すべきかと思います」
「一般人を守るために我々は仕事をし、給料を貰っているのですよ?」
「1人の死によって魔術師が動き、10人、100人救えると考えれば、やむを得ないと。今の魔術師の数ではとても未然に防ぐことはできません」
「1つはと言ったね。まだあるのか? 具体的な案は」
「はい。もう一つは調査をしっかりとすることです。ランクの違いにより、多くの死者が出ています。それを防ぐことも重要かと」
「それは警察に任せている業務です。どうこう言える話でもないし、警察に死者が出ては意味がないのでは?」
「怪物は日中は活動しないことがほとんど。なのでその心配はないかと」
「調査の誤りがあることは何が原因だと思う?」
「計測器の老朽化、それがほとんどかと。すぐに変えることは難しいと思いますが、徐々に新しくしていけばいいと思います。壊した俺が言うのもあれですけど」
「ではもう一つの再発防止について、具体的に何かあるか?」
「はい。まず、仮に同級生や親戚などに死者が出た場合の心のケアなどを考えるべきだと思います。よくあること、と切り捨てることは特に学生には厳しいことだと思います
あとは、過去に関わりがある現場を避けるか複数人で行く、ということも考えていくべきかと。この2つです」
「わかった。考えておく。他に何かあるか?」
「以上です」
そしてその後、学生の通常の仕事に限り、Bランクまでは複数人で行うことが決められた。例外もあるが。
また、過去と関わりが深いところの仕事は複数人か避けるようにする、というのも認められた。こっちは年齢に関係なく適応されることになった。
これは上層部にしては結構認めた方だ。これはかなり痛い話だったみたいだ。
◇◇◇
最後まで読んでいただきありがとうございます。よかったら☆・♡の方、よろしくお願いします。
ソーサラープロミス 月影澪央 @reo_neko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます