エピローグ1
「み、湊……?」
「優愛……よかった。会えた」
この世界で目覚めて、最初にあったのは優愛だった。
優愛は俺にとって一番大切な人だ。親よりも。
親は魔術師だったが二人そろって自殺した。そんな僕に話しかけてくれたのが、優愛だった。
昔、優愛の過去について聞いたことがあった。その聞いた過去が自分と同じような過去だった。そのときは妙な親近感がわいた。
「ここってさ………どこなの……?」
「わからない」
「湊、何したの?」
「いや……今は何も……」
「今じゃなくて、あの……最期」
「ああ……あれは……」
「僕は、優愛と一緒に居たかった。一緒に居るには、こうするしかないと思った。死んだら、もう、規則に縛られることもないわけだしさ」
僕がそう言うと、優愛は黙ってしまった。
「湊……
ありがとう」
「優愛……」
そのあとこの世界がどんなところなのかを調べようと歩き回った。
そして長老的な立ち位置の人に出会った。
「ここはどこか、か……少しは勘づかないのかね」
「……とは?」
「おぬしらは死んだんだろう?」
「ま、まあ……多分……」
「ここはおぬしらの世界で『天国』と呼ばれているところだ」
「天国……?」
「まあ、ここに住む者は
「神界……」
「神の住む世界じゃよ」
「じゃあ、あなたは神様なの……?」
「そんなことはないよ、お嬢ちゃん。ただの住民じゃ。神はこの世界の中心の塔に住んでおる。まあ、会えるもんでもないがな」
「へぇ……ありがとうございます」
「いいんじゃよ」
いい人でよかった。でもこんな世界に来てしまったとは……それに天国が存在していたとは……
「湊」
「ん?」
「ありがとう」
「え」
優愛は抱き着いてきた。それも道の真ん中で。
「僕が一緒に居たいと思っただけだよ」
「それでも。ありがとう」
「これからは、ずっと一緒に居ような」
「うん!」
他人からしたら変かもしれない。でも僕たちにとってはハッピーエンドで、これでいいんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます