人に近しいモノと、神に近しいモノが重ねる、内なる愛の言霊。

時間軸も空間軸も意味を持たない神代の世界、ヒロインは、生まれた世界の一つに御使いとして降り立ちます。
そこで、自分がかつて人間であったこと、その世界の未来が別の世界で創作物として語られていたこと、自分がそれを知っていること、を思い出します。

流行のゲーム世界モチーフを、ハイファンタジーに落とし込む手法がお見事です。
ハマっていたゲームの世界、それはそれとして今は上位の神性存在であり、静謐で無偏の愛を世界に向けるヒロイン……なんて雰囲気が持続するのは、鬼の血が混じった少年ザイと出会うまででした。
燃え上がる『推し愛』に目覚めるヒロイン、語りがおかしなことになります。
乱れる鼻息(イメージ)、ゆるむ顔面(イメージ)、勝手にわきわき動く指(イメージ)、あふれる情動を鉄壁の外ヅラで隠しながら、二人は旅路を共にします。
おまわりさん、こっちです。

閑話休題。
二人の行く先に、世界はどんな景色を見せるのか。
王道ファンタジー+むっつりヒロイン(?)ハイファンタジー、荒ぶる魂に共感するすべての人へ……!