『エピローグ~瑠梨の独白~』

 ベンチに寝転がり、雪を眺めていた。

 一人はやっぱり寂しいな。でも、これでいい。

 私がこうやって、一人で『まつゆき駅』にいるってことは、ユリちゃんが前を向けた証拠だから。

 ユリちゃん彼女が『まつゆき駅ここ』から出れて、本当に良かった。

 きっとユリちゃんはもう大丈夫。覚悟を決めた子は強い。立ち止まることもあるかもしれないけど、またすぐに歩き出せる。ユリちゃんなら夢に向かって、進み続けられると、私は信じてる。

「ユリちゃんが描いた絵本、読みたかったな……」

 私はここから出られない。

 だから、“ユリちゃんが描いた絵本を読みたい”という願いは、叶わないだろう。

 それだけが残念だ。




 あ……電車が近づいてくる。次の子がやって来たみたい。

 私は体を起こし、ベンチから立ち上がる。そしてホームの端で、電車の到着を待った。

 電車が止まる。開いた扉から降りてきたのは、男の子だった。今回の子も高校生くらいかな?

 少しヤンチャな見た目だけど、根は優しそうな子だ。何となく、年下の弟妹きょうだいがいそうだし……よし、でいってみよう。

 頭の中でをしながら、そっと男の子に近づく。

「こんにちは」

 慌てたように辺りを見渡す男の子の顔を覗き込みながら、声をかける。目が合うと、男の子は一瞬、怪訝そうな顔をした。

 だけど直ぐに屈んで、私と目線を合わせ「こんなところでどうした? 迷子か?」と聞いてくれた。やっぱり優しい子だ。

「迷子じゃないよ? えっとね、はじめまして! 

は、瑠梨。よろしくね、!」



 ── To be continued?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

まつゆき駅で、お話ししましょ? 双瀬桔梗 @hutasekikyo_mozikaki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ