リアルとファンタジーの合間で、生きることを問う

大規模地震の発生を前提とした、小規模なヒューマンドラマです。
小規模といっても、そこに漂う日常感→絶望感→諦念→心理的復旧という流れの滑らかさには驚かされます。

災害を扱ったものである以上、そこには人の生き死にがあります。その境界線を、主人公はどう切り抜けていくのか。否、どう翻弄されていくのか。

それをきちんと描いたうえで、クライマックスの主人公の『ある決意』に繋がる。実に美しい構成だと感じました。

贅沢を言えば、もう少し情景描写があってもよかったかも? というところですが、それこそ重箱の隅を突くようなものですね。

皆様もこの作品の『二人の』主人公の生き方に触れてみてください。

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