非日常を生き延びた人は、どう折り合いをつけて日常を生きていくのか?

 最初に読んだときは、カードをめくるように、少しづつ紹介されていく磯辺の性格、謎の女子高生Rの存在、エアシューターという意外な小道具を使った磯辺とRとのやりとりなど、名画座で1970~80年代のヨーロッパ映画を見ているみたいでした。

 話の流れを理解してから時間をおいて、二度読みしましたが、日常と非日常、そして突然の非日常に飲まれて、生き延びた人物は、どう折り合いをつけて、日常の中で生きていくのか?人の死は、その周りの人々に、どれほど大きな悲しみと喪失感を残すのか、様々なテーマを我々に提示する作品です。まるで自室の床が砂になって、徐々に飲み込まれていくような、なんともいえない読後感でした。

 カクヨムでは掲載されてない四話で答えが示されるのか、救いはあるのか、そのままなのか、書籍版を入手して確認したいと思います。