町の色・人々の色・はじまりの色
日が落ちた、午後七時前。
(なあ、
ヒソヒソと耳打ちする。
「なあに?
嬉しすぎてニコニコにっこりはっきり! 返事をする。
(しーっ! シーッ! 声が大きい)
ヒソヒソヒソ。
(お願いがあるんだ)
「? 私にできることなら
(
ヒソヒソ!
両手を合わせ、お辞儀をして頼み込む
思ったとおり、むくれている。
「今さら、なにを……」
「おう、
「あら、引っ越してきた
「おおう、デートか?
「あらあら。たしか
あちらこちらから声がかかる。
下手なことをした日にゃ、おじんネットワークとおばんネットワークが町を駆け巡るだろう。
あることとか、ないことか、ないこととかないこととかないことととと……。
そして次の日には……。
(……。
ヒソ……。
ちょっと顔を青くしてうなずく
二人は仕方なくて、ずっと黙って歩く。ま、いっか。その顔はニコニコを通りこしてニヤニヤ。幸せいっぱい。もう一緒に歩くだけで楽しいから、
しばらくして
「ねえ、
「なに?」
「
「……。
「そこで〝
「
「おれは知らなかったよん。思い出して分かった」
「室町時代、おれが
「で、こんなに悪い事が起きるのは、偉い人がダメだから。つまり、天が、〝コイツはふさわしくないから偉い人を変えろ〟って言ってる事と同じだ。という迷信があったんだ」
〝
徳を失くした王に天が見切りをつけた時、その地を災害災難が襲う。人々の間に混乱が始まり、戦乱が始まる。新たにふさわしい者がその地を平和にせよ、革命を起こせ、と。
「
実際に、室町時代は南北朝に別れ、もめていた。そこに地震・台風・疫病。二十八年間も続く
「天、って。神様と同じことよね? 神様が見切りをつける役なのに、なんで
「こじつけだよ。野望を叶えるチャンスと考えたんじゃないかな。神さえ
「それに
「え? え? でも
「決まった名は無かったんだよ。なんでそうなのか、おれも思い出せないんだ。
「そうなんだ。
「
「
「うん。確か、
「横恋慕ってやつかあ」
「それも含めて、自分が偉くなれば
「それから?」
「生きながら
「あらぁ。
「最初に言った、強くなりすぎたから……。偉くなれる、なんでも手に入るって思い上がったんだな。実際、神様に勝ったし」
「野心か……。弟も
「
(
「の、おかげで戻ってこられたけど」
「その名は大きい声で呼んで欲しいのにいい」
「ハハハ」
「ふふ。もう、そんなことは忘れて楽しく帰りましょ?」
二人は人々を、町をながめながら歩く。
商店街は賑わっている。居酒屋・カフェ・屋台・お惣菜屋・スーパーとか。町の人、観光客、いろんな人とすれ違う。
高校の制服を着た女子生徒たちはスイーツを手にはしゃいでる。部活帰りかな。がんばった自分たちにご褒美かも。スーツ姿の女の人は仕事帰りか。ゴールデンウィークなのにお疲れ様です。腕を組んでデートしているカップル。あんな風に二人で歩きたい。夫婦二人と子供二人の家族もいる。食事に行く途中? 下の子がお父さんと嬉しそうに話していた。
赤ちゃんを抱っこした若い夫婦は、写真を撮りながら三人で今のこの時間を楽しんでる。きっと、赤ちゃんが大きくなったら今日の思い出を話すんだろう。青い顔をして急ぎ足で歩く男の人は体調が悪そうだ。スーパーの袋を下げた若い女の人。一人暮らしかな?
よくある光景、いつもの平和な日常。
二人の視線の先には最後にすれ違った、
そしてすれ違う前にチラッと見えた、
確か、それは〝
商店街を行き交う人たちの波の中に埋もれて、
その
握り返す
それは、新たな〝はじまりの
SUN KID 青い目の陰陽児 左近ピロタカ @sakonpirotaka
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