夕焼け色の、あまちゅっぱい二人--再び
「はーじーめー。まーだー終わってないわよおおお」
ゴゴごごゴゴごご。
愛の劇場が始まる。
「いやん。
ふざけて言ってみても彼女には効かなかった。おびえる
「言ってないわよおおおお。
「? 何を言ってるんだ
「やらかした」
と
「した。ず〜っと、自分からハシゴ外しちゃってんの」
と
「? なんぞその例え。もしかしてもしかすると、ヘタレな
「おじさん優勝。まあ見ててよ。
「さあ! 信じてほしけりゃ言いなさい!」
「ま、待て。みんながいる! ソレって何て公開プレイ?」
ズズズズッと後ずさりの
ズズズイッ。
「はぐらかすじゃない。いっつも、逃げるじゃない!」
ズズズズッ。
「お、落ち着いて話し合おう。話せば分かる。〝愛があれば〟、人は分かり合えるはずだ!」
三人が今、思ったことは同じ。声を揃えて、
「
「
ハシゴといい、サイといい、いつの間にか自分で自分を追い込む。
ズズズーイッ!
「だーかーらー! その愛を出せって言ってんのよ!! お父さんと! お母さんと! カモカモ先生に! 証人になってもらうわ !! 」
ズズズズーッ!
「だから、
「しまった! おれとしたことがあああ」
遅えよ、気づくのが……。前に出れば後ろに下がる。延々と続きそうだ。このままでは終わるのは真夜中か?
「こりゃ」
ペシンと
「いい加減にしなさい二人とも。
詳しいことはカモカモ先生から聞いていた。
「ごめんなさい
ギロッと
しっかしヘッタレの連呼。聞いてるこっちが
「な、なんとか
宇宙遊泳の目で、おそるおそる聞く
「じゃ、
ピンチが去って、またピーンチ。どうする、
彼はそう予感してしまう。
「さ・さ・さ……」
「何よ! ちゃんと
ついにしびれを切らした
「ちげーよ! おれは
「いつもそうやってすぐはぐらかす! 男らしくない !!
「何おー! おれはいつも本気だー !! おれの目を見ろ何も言うなあああ !! 」
言葉の
「あの二人、かみ合ってないわねえ……」
「えー?
「
「
「言葉が欲しいのよ、女の子は。好きな人の
「アア。〝
言ってない。
〝好き〟と、
もうひとつ気づいた。
こりゃ言えねえわ。
「
「いえ。教師として、遅い時間に生徒を二人だけで残して行くのは」
空気読めよカモカモ先生。面白いから残りたいだけだろ? まったく、この、人じゃ無い人は。
「
「ハイ! 喜んでー !! 」
「
『ですよねー』
息の合った返事をする
(今日はこれで許して)
彼女の手を、ギュッと握った。ニコっと
「じゃあ先に帰ろうか。みんな、うちの車に乗りなさい」
(母さん。
声を出して
六人が乗った車は公園を、二人を
みんなが帰った。静かな夕日が二人の頬を夕焼け色に染める。
あの時の色を——帰り道を二人だけで歩いた、
〝待っててくれて、嬉しいな〟
の色を思い出させる。
そして気づかせた。
〝待たせてしまっていた〟
〝これは、情けない〟と。
出会ってからわずか半月ほどで、想いは動いていた。
ここに、いるのは二人だけ。たった二人はずっと……黙ったまま。
誰もいない公園もずっと黙ったまま。ときおり風が赤い花を
「ごめんな」
「
「おれは・
言・え・た。
ガッチガチになって。
〝
「
「うん。うん。うん……」
ポタ、ポタ。涙があふれる。
〝
壱のシャツの裾を、ギュッと。
「I love you…… 」
新ためて思う……この想いは六百年間の、二人の……。
赤い花がサワサワ
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