恋は涙色・真っ赤な色
「ええええええええ!!」
絶叫する
「なに言ってるの? 大丈夫なの? どこか打った?」
「好きになっちゃいけないなんてええ! うわあああん !! 」
泣き声まであげだす。
「ええええええええ!!」
また絶叫する
「アーアー。聞こえナーイ、見えてナーイ。オヤ? 誰カ呼びマシタ?」
耳をふさいで、すっとぼける
「なんか分かんないけど、ぼくも聞こえなーい」
「同じで分かんないけど、わたしも見えてなーい」
「あとは若い二人にまかせて。行こう
「だからオヤジくさいってば」
二人、残される。灰の前でたたずむ二人。結界が消えていく。
西の太陽が二人を照らす。もう、夕方になっていた。
「違うよ、
「うそ。ただの人が、変身できるわけないじゃない!」
「いや、だから」
「あの姿って、神様そのものじゃないの!」
「だーかーらー!!
「
「私に気を使わないで。いいの、決めたの。私、もし別の敵が出たらあなたをサポートして一緒にやっつけていく! ただの仲間でもいいの !! 」
「うそばっかり言う
「
「うおああっぁああ!」
三度目の絶叫。胸を押さえてジタバタ。「
「どうすれば信じてもらえるんだよおぉぅあああ!」
がんばれ、
赤い涙目で、スンスン赤い鼻をすする
「……言ってよ」
「ハイ?」
「じゃあ私のこと〝好き〟って言ってよ。それなら信じてあげる」
ナイスなアイデア。好きになったらダメ、じゃないなら、
ファイト、
「
「ココハダレ! ワタシハドコ! どうしてこうなったああ!!」
髪をワシワシ、ワッシワシで四度目の絶叫。
「若いって良いなあ」
「え?」
「え?」
聞き覚えのある声に、キョロ! キョロ!
「さて、ここで問題です。先生は今どこにいるでしょう、っか!」
バンザイのポーズで灰の中から飛び出すカモカモ先生。どこかの大阪の、どこかの看板のポーズといっしょ。
「なんで、カモカモ先生が灰の中から出てくんのかしら?」
「てか、いつからいたんだ? 二人から目を離したの、ちょっとだったのに」
芝生に身を伏せてコソコソ話す
「ったく
「それが
「日本語になってないわよ、
カモカモ先生はスルーする。そんなことより
「長い目デ、
「おおう! ビックリした。
「カモカモ先生はイツモ余計ナことヲ。最初からワタシたちト戦ってクレレバ良いノニ」
「最初から? って何?」
「それハ……。おいオイ、お話しシテいきマスヨ。
「なによ、気になるじゃない。言っちゃってよ」
「……お楽しみハ、これカラダー。(棒読み)
「先生。聞いた? 見たよね? 今、聞いたでしょ?」
「どこから? どこから !! 」
先生を問いつめる
「んー。どこからが
カモカモ先生のイジワルん。
顔が真っ赤に燃える
「いーやーあああ !! コイツを○して私も死ぬー!」
「ハハハハハ。そんな人で無しになっちゃあ、いけないなあ」
(先生は人じゃ無いくせに)
ボソッと
「どうしよー!
などと、いろいろ一人でわめいてる。
「どうして死んだ真似したんだよ先生。あんなことしなくても」
「人は、極限の状況まで追い込まれると最大の力を発揮するんだ。なんちて。先生は君たちの可能性にかけて、わざとああしたんだよん。なんちて」
どこかのブラック企業か?
「
「おれたち五年一組のみんなしか覚えてないのって、先生の仕業? もしかして」
先生は、てへ。
「あれはちょっと、失敗しちった。
まあ、五年一組の団結力が強くなったから、OK。
「てか、面白がってない?」
正解だ。
「楽しんデるんデスヨ。面白がりヤガッテ。コノ人、性格ガ悪いカラ」
いつの間にか忍びこんでる
「んー?
両手をグーにして、
「あダダダだ! ノー! バイオレンス、ノー!(暴力反対!)」
いや、痛くないだろ。
(痛いんデスヨ! カモカモ先生は人ジャないカラ)
そうか、
とかやってる間に
そこはいつもの世界。憩いの公園に五人と、人じゃ無いもう一人は戻って来られた。
あっ。
すでに、夕暮れ時。昼間にいた人は、全て帰った後だった。淡い夕日が五人を染める。
「あれ?
「ある。燃えたはずなのに。あ、幹の上」
それを打ちつけていた
「どういうこと? 分かる?
「
「ただ、
「で、強い
「分かるかな?」
「
としか言いようがない
「
「そう。
「で、
「やっぱりぜんぜん分かんない」
咲子はチンプンカンプン。
「じゃ、
守が心配する。
「無い。
「すごいな
ほめる
「ただの想像だよ。想像」
汗をふき出しながら、内心ヒヤヒヤしてた
これ、カモカモ先生の入れ知恵。
でも実は二人は、カモカモ先生が普通じゃない、とうすうす
「見られた聞かれた。見られた聞かれた。見られた聞かれた。見られ——」
「
「おれたちで、
手を取って立ち上がる。
「
「みんな! 無事だったのね」
「父さん! 母さん!!」
感動の再会だ。二人はみんなをずっと、待っていてくれた。
「母さーん!」
「立派に、こんなに立派になって!」
スカーー。
彼をスルーして走り続ける
「ホントに立派になったわね!
力いっぱい抱きしめたのは
「
ポッカンキョットンな
「こんなにボロボロになって、涙まで……。せっかくの美人が台無し。疲れたでしょう? どこかケガは? お腹、空いてない?おばさん、腕によりをかけて美味しいもの、作ってあげるわ。
ハンカチで
「オレハドコー? オレハココダー。ココニイルゾー……」
自分で自分を抱きしめる
「いつものおばさんね。
「ぼくたちも、ああやって抱きしめてもらったっけ」
「ハッハッハッ。よくやったぞ
(
ヒソヒソヒソ。
(
(ところで小声なのは?)
ヒソヒソ。
(
ヒソ。
そこにコッソリ忍びこんできた
(ダマされチャいけマセンヨー。カモカモ先生は死んだ真似して——)
「
「あダダダだ! ノー! バイオレンス、ノー!(暴力反対!)」
「おれだけじゃ、無いんだ」
ポツリ語る
「みんなのおかげだよ。
「おれ一人だったら……」
「
話しに割って入ったカモカモ先生。
「どの口がー! 死ん——」
両手グリグリでスタンバる、カモカモ先生。
「ノー! バイオレンス、ノー!(暴力反対!)」
「? こら。
「ハイハイワカリマシター。どこまで話したっけ?」
「タシカ、
「あダダダだ!」
「もちろん
「あの
「五人がそろって初めて、一つの力になったんだ」
「
「人は、無意識に同じ目標の人を見つけることが出来るんだ。同じ感性と言ってもいい」
「簡単に言えば、気の合う、相性が良い仲間。一生の友達とか、恋人とかね」
「父さんと母さんみたいに。テヘ」
歳が四十過ぎたおっさんが照れる。それが言いたかったのか?
「おじさん。ぼくが
「わたしが
「まさに天の、神様の
カモカモ先生の顔が、〝それ以上、今は言わないでね(
「ハイザイってなに?」
質問する
「お薬ヲ配ルことデスヨ」
グリグリグリグリ。
「あダダダだ!」
今では
「ハッハッハッ、難しい言葉だったか。正しくは〝
納得の
「じゃあ、
「きっと、そうだな」
答える
「やっぱり、
「運命か。おれが
今、
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