いいねの数だけ殺します

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　20XX年、10月13日。

　この日、日本全国各地にて人が吐血して倒れる変死が相次ぎ、147,582人が命を落とした。一日の死者数は戦後最多を記録し、社会全体に大きな影響と衝撃を及ぼした。

　変死者は全員、何の予兆もなしに口から大量の血を吐き、失血死によって命を落としたとされている。またそのほとんどは、午後13時ごろに症状を発症したと見られている。

　集団変死の原因は特定されておらず、インターネット上では、未知の病原菌が引き起こしたものであるだとか、国内に潜む海外の過激派テロ組織によるバイオテロではないかなど、様々な憶測（おくそく）が飛び交った

　それらの風説（ふうせつ）の中に、一際注目を集めたものがある。その概要は次の通りだ。

　集団変死が発生した13日に、ツイッター上にとあるツイートが投稿された。

　そのツイートには、ツイートについたいいねの数だけ人を殺すと書かれていた。

　そしてツイートについたいいねの数は、この日変死を遂げた人数とおおよそ一致している。

　また観測できた範囲内に限る話だが、当該（とうがい）ツイートにいいねしていたユーザーは全員、この日以降あらゆる活動を停止している。さらには当該ユーザーの親族によるユーザー本人の死去報告ツイートの投稿も多数確認されている。

　以上から、13日に発生した大量集団変死の犠牲者たちは、当該ツイートにいいねしたユーザーたちであり、全員何らかの方法で殺害されたのではないかと推測されている。

　なお当該ツイートは、日本時間の13日15時27分 に、ツイッター社の日本現地法人によって強制削除されている。またツイートを投稿したアカウントの所持者についての情報は、一切開示されていない。

　よって、この臆説（おくせつ）が正しいのかどうかは謎のままである。

　そして。

　この殺戮劇の真相は、一人の少女を除いて、誰も知らない。