今年5月~6月に開催された『「5分で読書」短編小説コンテスト 2022』にて、私の応募作『ハツコイレイザー』が優秀賞を受賞しました。
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863308113158/episodes/168169278633312364572連覇を逃したこと、また『ミステリー部門と恋愛部門それぞれで1作ずつ書籍化する』という目標を達成できなかったこととで、正直けっこう凹んではいますが、ある程度の成果は残せたということでなんとか心の整理をつけております。
いい機会なので、今回の5分で読書コンについてあとがたり的に振り返ろうと思います。
まあまあ長いので興味ない方は読み飛ばして、最後のお願いだけ読んでください。
※受賞作のネタバレを含むので未読の方はお気をつけあそばせ
さて。まず優秀賞をいただいた恋愛部門についてですが、こちらはおおむね狙い通りに賞を勝ち取れました。
募集テーマは『誰にもいえない恋』。
前回の恋愛部門『想いが通じる5分前』に比べると縛りが緩く、かつありきたりなお題でした。
ゆえに、内容が似たり寄ったりな応募作が多くなることは容易に想像できましたし、また実際その通りになっていたかなと。
そんな中で『ハツコイレイザー』が受賞したのは、恋愛以外の要素での差別化が効いたからだと考えています。
” ワンパターンな展開になりがちな恋愛というテーマにおいて、ワンエッセンスとなる要素をうまく取り込みつつも対象読者層にあわせたバランスのよい作品を選出させて頂きました ”
これは前回の5分で読書コンにおける恋愛部門の選評文なのですが、選考委員が変わり種的な要素を求めていたことが示されていますよね。
お題が平凡化した今回は尚更このニーズが高まると予想していました。
これを踏まえ、私は当部門において、メインの恋愛部分の質で勝負するのではなく、周りを出し抜ける飛び道具でイージーウィンを狙いにいく方針を取りました。
選んだ武器は、消せるボールペンを用いたミステリチックなトリック。ミステリー部門のネタ出しで生まれた副産物でしたが、恋愛×トリックの組み合わせに意外性があり、アイデアだけでも「書籍化ラインには最低でも乗るやろ」くらいの自信があったので採用に至りました。
担当編集の方からもトリックのオリジナリティを褒めていただいたので、この戦略はそれなりに正しかったんじゃないかなあと思っています。
一つ反省点を挙げるなら、結末がビターエンドだったことでしょうか。
朝読向けを謳っておきながら失恋エンドなのはいかがなものか? という懸念は構想当初からありまして。実際今回の大賞受賞作の選評を読むと、ハッピーエンドが評価されたことが窺えるので、ここが一つ大きな敗因になったのかなと。
『ハツコイレイザー』は叶わなかった恋の肯定がテーマであり、失恋エンドは動かせなかったので、大賞を狙うなら別でハッピーエンドの作品を用意するべきだったかもしれませんね。
で、次はミステリー部門。こちらは大敗でした。
2作応募したのにどちらも1次落ちという体たらく。恋愛部門受賞の喜びを以てしても未だに心の傷が癒えてません。
敗因は、テーマの ” 5分 ” に無駄にこだわりすぎたことかなと推察しています。
謎を解くまでの時間が3分でも10分でもなく5分になるような話を作らなければならない、と思って構想を練っていたのですが、そうすると作れる謎の幅が狭くなってしまい、私の実力では納得のいく話を用意できませんでした。
一次選考通過作をチェックしたところ、謎を解くまでの時間がきっかり5分じゃなくておおよそそれくらいって作品がほとんどでしたし、なんなら日単位で時間かかってる作品すらあったくらいなので、探偵モノとしての構成を整えることの方が重要だったのかなという印象を受けました。
お題はどうなってんだお題は(小声)。
まあとにかく、募集テーマの解釈をミスったのが反省点でしたね。無念……。
そんなわけで、コンテスト全体を通して見ると、今回は敗北だったかなと思います。
次回があるかは分かりませんが、またあるとして何部門開催されるのかも不明ですが、リベンジの機会が巡ってきましたら、次こそは全部門で1作以上書籍化という目標を成し遂げようと思います。
最後に一つお願いがあります。
今回の恋愛部門で一次選考を通過していた枝折さまの作品『裏表のないきみと、裏の顔がばれたくない僕』をぜひ読んでください。
URL:
https://kakuyomu.jp/works/16817139556035259800/episodes/16817139556035493312作り物っぽさがなく、恋愛小説にありがちな過剰な甘さもなく、それゆえに誰もが強く共感し心を掴まれるであろう、等身大青春ストーリーです。
主人公が歌唱配信をしているという点でオリジナリティもバッチリ。
そして何より、話の締め方が最ッッッ高にお上手です。
今回の5分で読書コンで、断トツぶっちぎりで好きな作品でした。
これが選外なのまーじで意味不明です(過激派)。
個人的な文句はさておき、実は本作、一次選考の結果発表時点ではまさかの★0だったんですよね(だったはず)。そのような応募作も面白ければ読者評価にかかわらず拾い上げてくれるあたり、5分で読書コンはやっぱりいいコンテストだなあと再確認しました。ぜひまた開催してほしいなあと願っています。
とまあこんなところで、今回の近況ノートは以上とさせていただきます。
最後までお読みくださりありがとうございました。