電子レンジの中では、14歳の少女が世界を回している。

 電子レンジのターンテーブルの上には宇宙が乗っかっていて、少女はその宇宙を生かすためにずっとターンテーブルを動かし続けていた。

 宇宙とマイクロウェーブとはトリッキーな組み合わせだと思いつつも、その掛け算を思いつく作者の柔軟な発想に毎度度肝を抜かれてしまう。
 
 宇宙を回すことも、宇宙を回すことをやめることも、そして彼女自身が宇宙のようにターンテーブルの上で回ることも。広大な「宇宙」が常に周り続けていること、「宇宙」は、「宇宙」というだけで「宇宙である」こと、そして星々に喩えられる我々最小単位の命もまた「宇宙」を内包していることを、そっと思い出させてくれる。今作は前期(と作者から伺っている)の作品として、宇宙を存分に書き上げているように思う。