「私だけのものじゃない私」という幻想を、もし手放したなら?

 電子レンジの中という狭い世界で、歩くことも語らうこともなく、ただ宇宙を回し続ける少女。彼女を支配する奇妙な使命感は、どこか示唆的で、現実の社会で生きる我々も漠然と感じているもののように思えます。
 でも、もしそこから手を放してしまったら……? 物語後半に待つこの解放感と不安を、ぜひ実際に読んでみんなに味わってほしいと思います。