概要
そこに暮らす二人の日本人、穂高誠治と神崎翼。同じ町に住んでいるにも関わらずお互いの存在を知らない彼らは、やがて勃発した内乱に巻き込まれていく。
長期に渡る言語・文化考証によって描き出された作者渾身の南洋ファンタジー、ここに開幕。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!「もたざるもの」それは、異世界に飛ばされてしまった彼らの心の叫び。
「異世界転移モノ」と聞いて、皆さんはどのようなストーリーを想像するでしょうか?中世西洋風の世界、すごい能力を手に入れて無双、エルフや獣人といったファンタジックな種族、ギルドで仲間をあつめたり追放されたり…
しかしこの作品にそのような要素や展開はありません。東南アジアや南洋がベースの世界観で、時代も近現代、少なくとも産業革命以降のものでしょう。魔法は出てきますが、主人公には使いこなせるものじゃありません。現地で「北洋人」と呼ばれる転移者も数多くおり、中国人が大半で中華街まで形成ししまうほどです。他にも主人公の誠治をはじめとする日本人や、タイ人、なかにはアメリカから来た白人と多種多様です。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!支配階級の暴虐! 被差別「民族」の悲哀! 歴史は異世界でも繰り返す!
作品世界に浸りたい方々へ。そして歴史ものや社会派作品が得意な方々へ。この作品を読めば間違いありません!
「異世界」なるweb作品カテゴリ用語が損をしているのでは? と思わせる質感のハイレベルな世界観と、現代世界に通底する悲哀がこの作品にはあります。
まず、作品の舞台はその実「異世界」などではありません。舞台設定は『何故か』19世紀中葉レベルにまで急発展した近代IF東南アジア風王国……。
そのカラクリは異世界転移者の存在です。
定期発生するようになったバミューダトライアングル的存在により、洋上で無作為に我々現代世界から異世界転移させられた漂流民や海洋漂着物(モノによっては米海…続きを読む - ★★★ Excellent!!!异界大陆的唐人街? 真有意思!
異世界にある中華街を舞台にしたファンタジー作品です。
時空を捻じ曲げる現象によって異世界に飛ばされた日本人、中国人、その他の東洋人たち。
飛ばされた先の王国でそれらの人々は奴隷として過酷な生活を強いられていたのです。
異世界モノでありながら、人種差別といった重たいテーマをたびたび扱う本作。
しかし読みやすいように工夫されており、次々と読み進めてしまいます。
そして、作者様は海外の文化をよくご存知なのでしょう。
作中に時折出てくる外国語を織り交ぜたセリフや地の文には良い意味で驚かされました。
特に中華街のようすは圧巻です。
「異世界にある中華街? 本当に興味深いですよ!」※ひとこと紹介文…続きを読む