ありえる解がなければ史実通り。そのしばりを果たされた物語は遂に正念場へ

以下、多分にレビューワーの私見が入っていることを、最初にお断りしておきます。

あくまで、作者が主人公に許すのは、「銀本位制確立による経済力の強大化」や「倭寇を臣従させることによる制海権の確保」など当時実際ありえるところのもの。
ただこれらは日本統一後の秀吉や家康なら可能であろうが、一介の大名にすぎぬ主人公には到底無理と普通はなりましょう。
ゆえに、その分、主人公にとっても(作者にとっても)、厳しい。
分かりやすくいえば、「しばり」有りです。
そこを作者は巧妙に史実と組み合わせて、これならばあり得るかと、ここまではひもといて来ました。
でも、これから先はどうなの?と言う訳です。

例えば、「銀本位制(銀札)」などはとても面白いです。
これが歴史時代にあり得るのか。
そもそも、元手となる銀はあるのか?
最大の問題である信用不安は防げるのか?
というより、そもそも信用を得られるのか? 
相手は決済手段として受け取ってくれるのか?
相手も愚かではないのです。
実はこれも上記の制海権の確保が鍵を握ります。
つまり、最悪、日本国内で拠点を失う状況になっても、海外拠点に銀を置くならば、もしくは運び出す手筈にしておれば、一介の大名でも可能かとも想えます。

主人公のあの性格も、この「ありえる解」から導き出されたのかな? とも想えます。

また史実絡みで個人的に疑問に想っていることがあります。
なぜ、豊臣恩顧の武将たちは、家康による政権奪取をみすみす許したのか?
そのヒントを得られるのではと期待しつつ、本作の更新を楽しみに待ちたいと想います。

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