第3話

「太陽の下にて」3


 時は経ちー黒色人種の五人は鴨居五本松と異名がつくまでになっていた。戦場では鴨居家の陣営で彼等が大活躍していた。


 ある日の夜ー。


 赤松が満点の星空を見ながら泣いていた。

 弥彦は近づいて酒を渡して隣へ座った。

「赤松よ…自分の国へ帰りたいだろう?」

「ハイ…デモ、ヤヒコサマ二ツカエルミ…ナノデ、ガマンデス」

「戦では、いつ誰が死ぬか解らん!帰れないかもしれないぞ」

「カエッテモ、シニマス」

「何でだ?家族が居るだろ?」

「ハクジンガミンナ、コロシマシタ」

「どういう事だ?」

「ニホンモハクジンガキテ、ミンナコロシマス…ヤヒコサマ二タスケテホシイデス」

弥彦は酒を飲み干して、残りを赤松に渡して足早にその場を去ったー。


 弥彦は直ぐに家臣を呼びつけた。

「こんな夜更けにどうなされた?」

権兵衛が言ったー。

「世界は広い!それゆへに何が起きてるか解らん!五本松が我らの前に現れたと言うことは、我らの国が見知らぬ敵に的にされている証拠である!よって早急に外国の状況を調べて関白へ報告する事を鴨居家の目標とする!権兵衛!お主の娘婿の村上に船を借りて清を周り外国を見て回るぞ!」

弥彦はうとうととする家臣達の前で遠くを指差した。


 翌月ー。

 権兵衛と五本松と数名、屋敷に残して、弥彦と豊介と他五人で海に出た。


 弥彦達は村上家の数人と合流して、外国の軍隊の乗る船を数隻急襲した。軍人や宣教師を捕らえて尋問していった。知られたらまずい事になるから海賊を装って次々と外国の船を襲った。

 日本から出航した船を襲うと、船底に三十人の日本人を見つけた。全て女と子供であった。

 その船の船長と副船長を甲板へ連れてきて三十人の日本人の前に座らせた。

「これはどういう事だ」

船長は何も言わずに下を見ている。

 弥彦は容赦なく副船長の首を切り落とした。切り落とした副船長の頭を船長に差し出した。

 返り血を浴びた弥彦に恐怖して船長は全てを話した。

 外国は宣教師を使って内政から侵略使用としていること、奴隷として女子供を自国へ売り飛ばそうとしていた事を話した。


 弥彦は船長を斬らないで連れて帰った。

 書状と船長を権兵衛に関白の所へ連れて行くように委ねて、鴨居家全員で身支度をした。


そして鴨居家全員の前で弥彦が言った。

「海賊行為で事実を摑んだが海賊行為の責任を取り腹を斬る…と、言いたかったが!わしは悪いことなどした覚えは無い!だが、お咎めは逃れられん!よって!この国から逃げて五本松の国へ行く!そして彼等の国を!家族を奪還する!」

鴨居家全員が“エイエイオー!”と声を揃えた。

 五本松の五人も涙を流しながら“エイエイオー!”と何度も言ったー。


 太陽の下にて、鴨居家全員が乗った船団は大海原へ出航したー。


おわり

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太陽の下にて 門前払 勝無 @kaburemono

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