言葉の壁は、意思疎通ができなくなるだけではない。

ある日突然、あなたが全く理解できない言語を話す場所に放り込まれたとします。
身振り手振りをして、必死にコミュニケーションを取ろうとするかもしれません。
ですが、何日も何週間もそれが続けば、通じない苛立ちや不満は募り、ストレスが膨大に膨らんでいきます。
最初は、必死に耳を傾け、話しかけてくれる人もいたでしょう。
だけど、余計な時間をとられるからと敬遠されるかもしれない。
関わり合うのは面倒だからと、無視されるかもしれない。
そうなれば、孤独や絶望を感じてしまい、だれかとコミュニケーションをとることを放棄してしまうでしょう。
ひょっとすると、生きることも捨ててしまうかもしれない。
言葉の壁によるコミュニケーション不足は、単なる意思疎通の不便さやストレスの問題ではないのです。

英語など「SVO型」の文法圏の人達にとって習得が難しいと名高い「日本語」
同様に、「SOV型」の日本語を話す私たちにとって、習得が難しい「英語」

本作は、幼い主人公が言語の壁に直面し、格闘を強いられた日々が綴られている。
だが、忘れないでほしい。
日本語と同じ「SOV型」は、世界の約45パーセントで使用されていることを。
他に「VSO型」「VOS型」「OVS型」「OSV型」などが存在することを。
「SVO型」は、世界基準ではないことを。

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