親の都合でいきなり日本語の通じない環境に放り込まれる子供の苦悩と不安はどれほどでしょうか?
かくいう私も、今子供連れでアメリカに住んでます。アメリカは全土で日本人学校(日本語で月〜金まで勉強を教えてくれる学校)が4校しかないので、ほぼほぼ主人公:筆者と同じように平日は現地校に通うことになります。
駐在している親の体験記やブログはよく見かけますが、ここまで子供目線で体験を綴っているものはなかなか無いので、とてもリアルで貴重です。読ませていただきながら、自分の娘も渡米したばかりの頃こんな風に感じてたのかなといろいろ考えさせられました。アメリカ内でも地域で雰囲気は全然違いますし時代での違いもありますが、いろいろ洗礼を受けながらもサヴァイブしていくくるみちゃんの姿に読んだ人みんなが感銘をうけると思います。
まだ物語は続きますので、くるみちゃんの挑戦を引き続き見守っていきたいです。
ある日突然、あなたが全く理解できない言語を話す場所に放り込まれたとします。
身振り手振りをして、必死にコミュニケーションを取ろうとするかもしれません。
ですが、何日も何週間もそれが続けば、通じない苛立ちや不満は募り、ストレスが膨大に膨らんでいきます。
最初は、必死に耳を傾け、話しかけてくれる人もいたでしょう。
だけど、余計な時間をとられるからと敬遠されるかもしれない。
関わり合うのは面倒だからと、無視されるかもしれない。
そうなれば、孤独や絶望を感じてしまい、だれかとコミュニケーションをとることを放棄してしまうでしょう。
ひょっとすると、生きることも捨ててしまうかもしれない。
言葉の壁によるコミュニケーション不足は、単なる意思疎通の不便さやストレスの問題ではないのです。
英語など「SVO型」の文法圏の人達にとって習得が難しいと名高い「日本語」
同様に、「SOV型」の日本語を話す私たちにとって、習得が難しい「英語」
本作は、幼い主人公が言語の壁に直面し、格闘を強いられた日々が綴られている。
だが、忘れないでほしい。
日本語と同じ「SOV型」は、世界の約45パーセントで使用されていることを。
他に「VSO型」「VOS型」「OVS型」「OSV型」などが存在することを。
「SVO型」は、世界基準ではないことを。