意外ッ! それは第8話!
- ★★★ Excellent!!!
企画から失礼いたします。
長編小説は2万字相当部分まで読むということで、『潮騒館殺人事件』の第8話までを読むつもりでした。
しかし、8話を読了した時点でもう続きを読むしかない状態に追い込まれてしまったので、『潮騒館殺人事件』の結末の27話まで拝読させていただきました。
こちらのレビューは『潮騒館殺人事件』読了時点のものであることをご承知おきください。
ちなみに、27話読了の時点でどうしても桃が食べたくなったため、このレビューは取り急ぎ買ってきた桃を食べながら書かせていただきます(笑)
本作は探偵とその助手である小説家が、大手企業の元社長が主催する個人パーティーに招待され、その会場である『潮騒館』に向かうところから始まります。
潮騒館には、二人の他、別企業の御曹司や、記者、弁護士に警察官など、一見関わりのないような人々が集います。
そこで起こった事件や陰謀を、助手である小説家の一人称視点で描いていく物語です。
変人っぽい探偵と、それに振り回されるお堅い助手の語り手という組み合わせは、ミステリー好きとしては某顧問探偵シリーズを彷彿とさせてニコニコしてしまいます。(助手が医者でなく小説家ではありますが…)
登場するキャラクターたちもミステリーものらしくクセの強い人々で、「王道のミステリー開幕!」という感じの冒頭でした。
「じゃあ、もうちょっとしたら死体が出てきて、探偵さんがスマートに解決するのかな~」と思っていたら、問題の第8話です。
見事に裏切られました!
本当にこういう展開好きです。
作中もある程度のヒントがちりばめられていて、「この人が怪しいな~、でもミスリードかな?」なんて思いながら楽しく読むことができました。
展開の緩急もちょうどよく、8話以降の緊張感や、18話からの畳みかけは読んでいてドキドキしましたし、24話の後半は開示されたとある人物の人間性にぞくりとしてしまいました。
こういう考え方は倫理的にはよろしくないと思うのですが、個人的にはとても共感できます。
きれいごとだけでは生きていけないし、特には悪意を肯定しなきゃいけないこともあると思うのです。
そういった人間の心情も丁寧に描写されていて好感が持てました。
探偵と小説家の不穏な出会いが匂わされた終盤、今後開示される二人の過去がとても楽しみになりました。
潮騒館で登場したキャラクターも今後登場するのでしょうか?
好感のもてる人たちばかりだったので、それも楽しみです。
素敵な物語をありがとうございました!