第5話 MISSION
花園と行動を共にすることとなった俺は一緒に小屋を出て、広い草原地帯までやってきた。雨は先ほどあがり、今では太陽が余すことなく俺たちを照らしている。さっきまでの雨がまるでなかったみたいだ。
「ここが私が最初にいたところ。ここって見晴らしがいいから、島のいろんなところが見えるんだ」
あたりを見渡してみると、島全体が見えるくらいまで視界がひらけていた。
ここからでも全体が見渡せるくらいなので、この島自体はそこまで大きくはないのだろう。
「確かに見晴らしはいいけど、逃げる分には不利なんじゃないか?低地からでも見えてると思う」
「景色見れるからいいじゃん」
「そうなんですね………」
俺としてはこう言ったところにはあまり近寄りたくないが、今は彼女についていたまた方が身の安全のため、ついていくしかない。ちなみに、さっき手に入れたライフルはなんとスマホを近づけたらときの武器の自動認証によりスマホの中に転送された(カードの中に戻されたとも言える)。ますます運営たちの科学技術が今の世界でどれほどの影響を与えるのかが計り知れなくなる。
(転送とかってそもそも四次元でしかできないのでは?)
しかし、いくら考えても到底俺では理解できないことなのだろうと割り切るしかない。
すると、突然俺と花園の端末の通知音がなった。確認してみると、どうやら運営からのメッセージらしい。
「ミッション?なんだこれ」
そこには『ミッション』と題名が付けられたメッセージが記されていた。
「そうよね。私は二回目だったけど紫宮は初めてよね。というか、さっきまでもずっとミッションがでてたんだけどね」
「え?そうだったのか」
「ミッションっていうのは、1日単位で行われるんだけど、それをクリアしないと運営によって処分されるらしいわよ」
「処分って………だったら俺ってミッションの存在自体知らなかったから相当まずいんじゃないのかよ」
その存在自体知らなかったのにこんなのクリアできるわけがない。
「紫宮ならミッションとっくにクリアしたわよ私と一緒に」
「そ、そうなのか?」
俺がすでに花園と前回のミッションをクリアしていた?
そんなことをした記憶がない。
「だって昨日のミッションっていうのは『ゲーム中、男女で行動を共にせよ。また、どちらかが死亡した場合、もう一人も死亡する』だったから。今ずっと一緒にいるからクリアはとっくにしてるでしょ?」
「そんなミッションあったのかよ!?だったら俺は花園と出会えてなかったらもう死んでたってことになるのか、危なかった」
九死に一生を得るとはまさにこのことだ。訳もわからず死ぬことだけは避けられた。
「そうよ。私と出会えてなかったら紫宮はもう死んでたのよ?感謝しなさいよ」
「花園栞さん。今回は僕の窮地を救ってくださり本当にありがとうございました」
めんどくさいのでとりあえずだけ返しておく。が、彼女はどうやらお気に召さなかったらしい。
「なんなのよその言い方は、余計に腹が立つじゃない!もっとこう花園様愛しています、僕を一生付き添わせてくださいくらい言ってくれないと」
「お前それ自分で言ってて恥ずかしくないのか?」
「う、うるさいわね。そういうことを言うんじゃないのよ。これだから男は」
はいはいそうですかと、軽くこの話は流しておくことにして、今はこの理不尽なゲームをどう攻略するかを本格的に考えないといけない。男女で共に行動しないといけないってルールが追加されてるらしいから花園との別行動はきついのかもしれない。それにもし花園と逸れたときにあいつが死んだら俺も死ぬことになる。
「あっ」
俺は今ある重大なことに気づいた。
俺は花園にてっきり助けられたと思ってたけど、ちゃんと考えれば俺がいなかったら花園は死んでたんじゃないのか?俺のおかげで今生きてるんじゃないのか?
「おい花園、よくよく考えればお前も俺がいなかったら死んでたんだぞ、感謝しろよ俺に」
花園は俺の言葉を聞くてすぐに舌をぺろっと出して「え、なんのことかな?」と惚けた。
(あ、こいつ確信犯だわ)
「ちょっとこっち来て今すぐ俺に感謝しろ!」
「は?誰があんたなんかにするもんですか!ふざけるんじゃないわよ!」
「あ?お前今なんて!」
「あんたなんかには教えませーん」
このやりとりは二人が正気を取り戻すまで永遠に続けられていた。
SPIRAL GAME Daiana @daiana_gogopie
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