第2話
ゴウン、ゴウンと、洗濯機が別の部屋で唸り、床を伝ってきた振動が足裏を
急いで着替えた為に、湿った体に貼りつく衣服が
そんな眉間に皺を寄せているであろう僕を、水の張った湯船に入った人魚が、浴槽に両手を掛け上半身を出した姿勢でじっ、とこちらを
あの時僕は無意識に川に入り、人魚を拾い上げた。
――否、正確には「溺れた人間を
だが実際引き上げたソレに脚は無く、代わりに魚の
よくフィクションで見かける
それとは対照的に、人魚は今の所一度も、にこりとも
当然だが人魚は衣服など一切纏っておらず、腰まで伸びた白銀の髪はあれど、
目のやり場に困り掛けるが、少し視線を上げ
指の間の水掻きと
時折遊んでいるのか、尾鰭を
その様子を見ている限り、懸念していた水質も一応問題はなさそうだ。
――ところで。
「人魚って云うのはフツー、川じゃなくて海に居るものじゃないのか?」
抱いていた疑問が口をついて出たが、人魚の無機質な眼は相変わらず僕を
今後の事は、追々考えよう。
今迄の様に。今迄と変わらず――。
人魚の聲 徒花 @ProjectRedMoon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。人魚の聲の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます