架空の冷戦時代に、少しの不思議を添えて

全部読みましたああああ!!!

まず最初に、私は普段バリバリのバトルやアクション小説ばかりを読んでいて、本作のような作品は全く読んだことがありません!それでもむっちゃ楽しかったです!

時代背景として取り入れられている冷戦時代というのもとても新鮮でした。
この陰鬱とした閉塞感。常に曇り空が広がっているような息苦しさ。

作者様が本当に良くこの時代の世界情勢や東側諸国の実情を調べているのが伝わってきます。

正直スカッと明るくを常に求めてしまう私のようなタイプは、冷戦時代と聞くとそれだけで忌諱してしまいますが、本作を読んでみてとても興味が沸きました。
いつか自分でも題材として取り上げてみたいとすら感じました。

そういった曇り空の作中で、一際異彩を放つのが本作の特徴であるゴーレムです。
ゴーレム。冷戦時代にゴーレム。これは大変素晴らしい組み合わせで、最初から最後までずっと最高でした。

余りにも暗く閉ざされた環境の中、このゴーレムという存在はあらゆる面で異彩を放ち続けます。それは希望であり、探求の対象で有り、幸せの象徴でもあります。

主人公であるユリエがそうであったように、読者である私も彼女に救われました。こうして全てが終わった今、とても素晴らしい中欧旅行だったように感じられます。

ありがとうございました。