明けない夜はあり、いつもの朝が奇跡と気付く

この読後感をどう表現していいのか……。
嬉しい、悲しい、切ない、そんな明確な情動にあてはまらないのに、心が震えます。

本作は、明けない夜を越え、昼を取り戻す。そんなファンタジーです。

事象のスケールだけで言えば、神話や創世の物語とも表現できますが、大きな事件や戦闘や能力の行使などもありません。

年若い、思春期に差し掛かる少年たちと少女の、冒険譚であり日常であり、そして、だれかを一番澄んだ心で思えた時期の恋物語でもありました。

主題として、だれかの犠牲によって成り立つ世界は正しいのか?と疑問を抱き、長きに渡り刻まれた歴史を許容することを是とせず、幼くて純真な想いで希望をつなぐ様を描いています。

そんな彼らの行動は、繰り返される当たり前の毎日を過ごす我々に、そんな無味乾燥な毎日だって、変えたり、幸せの未来を考えたりすることができるんだよ、と教えてくれたように思えます。
そして、決断する時期が自由であることも。


だから、私も、慌てずゆっくり考えようと思います。

ハッピーエンドの結末を。