んもーっ! どうして水平射撃だと凄いのか――クロスボウは水平射撃をしてない

 まてよ?

 でも、分かったつもりで間違えている可能性はいつだってあるよな?

 検算しとくべきじゃね?


 な、補足回。



〇的の定義


 直立不動の人間の喉元から膝までの縦が1mとします。

 この時、的の喉元は高度1.5mとする。


 横方向の大きさは射手の腕に依存し、なおかつ今回の考察と無関係なので割愛。


〇なにを調べるべきか?


 喉の辺りを狙った矢やクォーレルが、喉元から膝――高度1.5m~0.5m間に滞在する長さ。


 この長さが的を外れ、それでも流れ矢として他の敵へ命中可能な範囲だから。


〇ようするに?


『高さが1メートルで鋭角が矢の入射角に等しい直角二等辺三角形の底辺』


 を求めれば、流れ矢の有効範囲。


例)

 入射角が45°の場合。

 鋭角が45°で、高さが1mの直角三角形の底辺は1m


 つまり、的および背後の1mまでが、その矢が有効となる範囲。


 ここで左右にズレるとか、前後にズレたらとか考慮する必要はない。

 なぜならどのような場合でも、実際に狙った場所は一点だから。

 ようするに射手がミスした場合分けと、一回の射撃で狙い得る範囲は、関係性がない。


 また45°以上の角度でも射ることはできるが、常に45°より狭い範囲となるため割愛する。


 入射角   範囲(m) 


 45°   1

 40°   1.19

 35°   1.42

 30°   1.73

 25°   2.14

 20°   2.27

 15°   3.73

 10°   5.67

  5°  11.43

  4°  14.30

  3°  19.08

  2°  28.63

  1°  57.28


 入射角30~45°の場合、真後ろにでも居なければ、有効な流れ矢にはならなさそう


 10~30°は無視できないかもだけど、それでも後ろ2~3人程度


 2~10°は、それなりに考慮の必要がある


 そして入射角2°以下からは、かなり水平射撃に近い?



速度(km/h)  50m   100m  150m  200m 250m


 100  17.6° 32.4°  ――    ――    ――


 150   8.0° 15.7° 22.9° 29.4°  ――


 200   4.5°  9.0° 13.4° 17.6° 21.6°



 400   1.1°  2.2°  3.4°  4.5°  5.6°


1180   0.1°  0.2°  0.3°  0.5°  0.6°


 いうまでもなく参照値程度。現実はさらに悪い――深い角度となる。



〇結論


・弓または同等なクロスボウの場合、ほぼ全ての距離が間接射撃


・よって流れ矢が当たり得るのも、後ろにいた奴一人程度まで


・速度400km/hな超高性能クロスボウを持ち出しても、後ろにいた3~4人に当たり得るので精一杯


・ようするに戦場においてクロスボウは直射してない


・銃器は入射角1°未満の世界であり、二桁は違う。完全に別物


参考

・速度と標的から1メートル以内の上を狙う距離


速度(km/h)


 100  約12.5mまで


 150  約18.8mまで


 200  約25.1mまで


 400  約50.0mまで


 『標的から1メートル以内の上を狙う』が直接射撃とは言わないけれど、目安として。

 これ以上の距離は『その道具を使ってきた経験則』による調整――つまりは習熟が必要と思われます。

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弓ではなく火縄銃を選ぶ大きな理由の一つ――クロス・ファイアについての誤認 curuss @curuss

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