水滴は空から降っていた

11話までのレビューとなります。
ここまで読んだ感想として、本作は「常識を問う物語」と解釈しております。

「止まない雨は無い」とは、ネガティブな状況はいつまでも続かないことを指す名言として有名です。
しかし、継続する状態が維持される場合、人はどんな慰めの言葉を選ぶのでしょう?

本作は「降らない雨が無い」つまり「雨」の概念が無い世界で、いわくつきの「祠」を守る主人公の一人称で語られる物語です。

主人公は、まるでゲームのチュートリアルで、否応ない状況に巻き込まれるように、さまざまな問題に直面します。

一人称ゆえに、いくつかの情報は「常識」として特に説明もなく状況が進むため、その世界にとっては当たり前の事象が、読み手には読み解けません。
これが「常識」の差異であり、その差をどう埋めるかが、作者様が求める帰着点になるのかもしれません。

この辺りの情報開示タイミングは、きっと物語の大きな構成要素になると想像でき、続きが楽しみに思えます。

ラバーズとは。
地震は何故起きるか。
雪が降る理由とは。
災いと呼ばれる怪物は。
武器となるカードとは。
現れる敵とは。

そして、一か月前の大災害とは。

そういった、情報の一端は事象として既に開示されています。
今はまだ読み解けない、その収束と共に至る帰着点を唯一知る作者様を、ただただ羨ましく思うばかりです。