カレーの、カレーによる、カレーのための小説

 ならば、ここに展開される物語はその魅力を最大に引き出す、ライスに違いない。(パン派やナン派やチャパティ派には恐縮だが)

 大学生活というゆるりとした時間の中で描き出されるのは、独り暮らしゆえの過ち、人物評に妙に納得してしまう食事作法、こんな奴居らんやろなカレーに憑りつかれた登場人物たち。

 抜きだせばいかにも混沌としているのに、読んでみたなら驚くほど筋が通っているのは調理人のカレーにかける情熱の成せる業なのか。

 惜しげもないユーモア、言語センスをスパイスに、知識・教養に裏打ちされた文章で見事盛り付けられたこの『カレー夜話』、大変楽しくいただけました。





 ちなみに私は、水を切ってレンジで温めた絹ごし豆腐にコンビニのカット野菜を乗せてカレーをかける派です。

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カレー夜話

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