巧妙に計算された風刺。騙されてはいけない(傍点)

これはたまげた。作者は策士であり頭の切れる風刺作家である。
「貴方が心血を注いだ作品なのだろう?だったら『読まれなきゃ意味がない』」と大上段に構える。このトリックに大半の読者はひっかかるだろう。
その時点で
作家、いや人間の存在価値を『生産性』で計る事の愚かさの罠にはまっている。

確かに紹介されている方法はいわばシステム仕様の盲点を突いている。
惹句やあらすじの見てくれてで稼いだ評価にどんな意味があるのか。
仮にあったとして例えば★500稼いだ作品情報と本文に著しい乖離があったとしてどんな意味があるのか。極端な話、今すぐにでも書籍化されそうなあらすじの本文が「円周率十万桁」だったらどうなるか。十万文字と言えばおおよそ文庫本一冊分である。
騙されてはいけない。本稿を読んで「よし!私も作品情報を改めよう」と弄り始めた時点であなたの「負け」である。そんな時間を費やすなら作品を改稿した方がはるかに有意義だ。ランキング争いに励むのもいいが「数字に」とらわれる過ぎると呪縛であり脅迫神経症になる。
数字を取りたいから書くのか?書いているうちに数字がついてくるのか。
選ぶのはあなた次第だ。だが承認欲求を満たしたいなら「売れんかな」の作品を書くより世の中にはもっと効率よい方法がある。例えばボランティアだ。
最後にカクヨム開設初期に『オレオ』という作品があったことに触れてレビューを終える。もう一度言う。作品は本文にこそ価値があるのだ。たとえ読者が0人であっても。未来永劫PV0とは限らないのだ。

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