2021/06/24 夜見ベルノさんに『出来損ないの精霊の子』を読書実況していただきました

 前置きを書こうと思ったのですが、長くなりそうだったので、まずはさっくりと。

 先日、バーチャルスコッパー夜見ベルノさんに『出来損ないの精霊の子』を読書実況していただきました。ありがとうございます。


 実況動画はこちら。


【読書実況】 出来損ないの精霊の子【夜見ベルノ】

https://youtu.be/3Gyxgvasy3U


 この『出来損ないの精霊の子』は、三千七百文字(ルビとルビ記号を含めると四千文字を超えます)の短編でしたが、短い時間の中でぎゅっと丁寧に読んでいただけました。ありがとうございます。

 あと、リスナーさんからもたくさん、嬉しいお言葉をいただきました。異世界とその世界の風習が伝わって嬉しいです。


 皆さんもベルノさんの動画をぜひご覧ください。楽しいので。

 読書実況って、読んでいる途中の生の感想が見えるのですごいなと思います。読んだ方から感想のお言葉をいただけることもありますが、その時の嬉しさとはまた違うものがあるなと思っています。

 頭から読んでいってその途中で「こういうことかな」というのは、ある程度読んでから伝えることの多い感想だとなかなか見えてこない部分だと思うので、見ていて勉強になりますし、何より本当に目の前で展開されるそれがもう純粋に面白いのです。


 体験してみて! という気持ちになります。

 ベルノさんは毎月二十三日に次回募集を行なっていますので、気になっている方はツイッターをぜひ! ご覧ください!


ベルノさんツイッターアカウント

https://twitter.com/velno_yomi


 あ、あと、今回も夜見の本棚に納めていただきました。


夜見の本棚の紹介ツイート

https://twitter.com/velno_yomi/status/1408101121256693765


 繊細な描写と言っていただけた。嬉しいです。

 なんだか、自分一人でこんなに何度も読んでいただいて嬉しがってて大丈夫かな、バチ当たらないかな、と心配になってきますね……。




 はい、というわけで、この文章の一番大事なところはもうこれで終わりです。以下はわたしの心境とか、実況動画で出たお話に関連した設定語りとか、そういった諸々です。

 あ、作品URLを載せるの忘れてますね、それだけここに載せておきます。


出来損ないの精霊の子

https://kakuyomu.jp/works/1177354054935408770




 ここからはかなりとりとめのない、とっちらかった話なので、ざざっと遠目に眺めていただくくらいがちょうど良いと思います。


 何からどう話そうかなと思うのですが、まずはあらすじ朗読会のことを。

 以前『指から唐揚げ』で読書実況に申し込んだときには、ベルノさんの読書実況枠は早い者勝ちでした。

 わたしの記憶が確かならば、確か先着順読書実況の最後の回だった……ような気がします。


 そう、先着順だったんですよ、ベルノさんの読書実況。ベルノさんをお見かけしてからしばらく、今回は応募しようか、でもどうしよう、場違いじゃないかとか悩んで見送っていました。リアルタイム視聴もできていなかったですし、ずっとアーカイブだけ見てうろうろだけしてました。

 それでも、次は応募しようかなと思いつつ、先着順の勢いに呑まれてツイート送信ボタンが押せなかったりしたまま、思い切って申し込んだのが二〇二〇年の十二月の募集でした。


 そのあとあらすじ朗読会が始まり、読書実況の応募は先着順ではなく、あらすじを読んで投票で決める形式になりました。

 正直なことを言えばあらすじに何を書けば良いかわからない方なので、この形式だったら自分は選ばれなかっただろうなーなんて思いながら、あらすじ朗読会を見てました。


 あらすじきちんと書かないとなと思うようになったのはあらすじ朗読会を見るようになってからです。ほんといつも勉強になってます。ありがとうございます。

 あらすじ朗読会を見た後に、なんかそういう気持ちになってあらすじを見直したりもしてます。


 でもまあ、なんというか『指から唐揚げ』を面白がっていただけたし、それで満足したところもあったというか。割と雑多にいろんなお話を書いてきていて、応募するとしても何を? みたいなところでも悩むし、一人でそんな何回も応募するのは迷惑じゃないのかな? とかも思ったりするし、なんとなく毎月読書実況への応募は見送ってきていたのでした。


 そんな中で先月また応募しようと思えたのは、ツイッターでのやりとりからです。『出来損ないの精霊の子』をすごく好きと言ってくださる方がいて、みんなでわいわいとおしゃべりする中で、好きと言ってもらえてる作品なんだからと思えるようになりました。ありがとうございます。


(あと、KAC2021のときに何度か泣きついた知り合いに「何ひよってんの、応募しろ」って言われた)


 と、まあ、そんな感じで参加したあらすじ朗読会でしたが、リスナーさんから「雰囲気が好き」などのお言葉がいただけて、とても嬉しかったです。それだけでもうかなり幸せでした。

 あと、投票で票をいただけるの嬉しいですね。本当にありがとうございます。あらすじ朗読会だけでもかなり楽しい体験でした。




 この先は、読書実況を眺めながらとりとめなく書いた結果です。

 自作語り設定語りがほとんどになってしまったので、そういうのに興味ないよって方は、あの、ここまでで大丈夫ですので……ここまで読んでいただけただけでも嬉しいです。

 それよりもベルノさんの読書実況をぜひご覧ください。


【読書実況】 出来損ないの精霊の子【夜見ベルノ】

https://youtu.be/3Gyxgvasy3U




 では、改めて読書実況の始まりから。


 最初の「ソンユ・オク」でさっそく止まって、ちょっとどきどきしました。

 ちなみに、本編『旅をする』の方でもこの地名は出てきていません。なぜならあちらの主人公は言葉がカタコトしかわからず、地名もきちんと把握できていないから。

 今これを書きながら単語帳を確認したのですが、「ソンユ・オク」の意味が残ってなかったので……この地名の意味は失われてしまいました。あれ、おかしいな、何か意味があったはずなんですが……きっと古い言葉なのでしょう。

 冒頭から異国感を味わっていただけたなら嬉しいです。


 割と冒頭は説明が少なめなのですが、意味のわからない言葉はあるけど雰囲気で読めるはず……と思いながら公開前にがりがりと文章を削っていった覚えがあります。

 岩肌に掘られた家、というのも「家が岩に掘られているのか」と思いながら読み進めたあとで「洞窟の中に街!」と全体が見える……感じになってると嬉しいです。うまくいってるかはわかりませんが。


 それから「オージャ」や「オール・ディエン森の底」、「トウム・ウル・ネイ大きな雲の一族」などは、どれも本編で登場した場所です。が、ここではまあ、「ルキエー以外にも国があるんだろうな」とか「ファンタジックな地名が出てきたな」みたいな、そのくらいの雰囲気で読み進めてもらえたら大丈夫な箇所です。

 それで言うと「両替商」というのも同じ機能ですね。「両替」をするってことは、様々な通貨があるってことで、通貨を発行している団体(国など)が複数あるってことですから。


 あ、これらがどんな場所なのか気になる方は、本編をご覧ください。本編の「ガイド」と名前の付いているページは設定紹介ページですので、そこだけさらっと目を通していただけると、世界観が少し見えてくるかもしれません。

 これらの「ガイド」は、『指から唐揚げ』での「コリン博物誌」です。


■ オール・ディエン ガイド ■

https://kakuyomu.jp/works/1177354054935110451/episodes/1177354054982523354


■ トウム・ウル ガイド ■

https://kakuyomu.jp/works/1177354054935110451/episodes/1177354055471479159


 あとは、ルビが読みにくくてすみません……となりました。普段はルビの振り方が逆なのです。

 本編では「森の底オール・ディエン」と表記しています。意味を文章の方に、ルビには音を割り当てています。それは、転移して異世界に行ってしまった日本人の一人称で、日本人の感覚で物語が進んでいるからそのようにしているから、だと思います。

 このお話を書くときに、この語り手のラー・ロウにとっては(我々にとって音である)「オール・ディエン」の方が意味で、「森の底」は我々へ向けた翻訳だなあと思ったからです。とはいえ、さすがに全編ルキエーの言葉で書くことは難しいだろうなと思いますけれども。

 ちなみに、大きな雲の一族トウム・ウル・ネイはルキエーとは別の文化圏の言葉ですね。地域名なのでルキエー以外の言葉がそのまま使われている箇所です。細かい話ですが。


 以前に「字幕」という感想をいただいたことがあって、「確かに字幕だこれ!」って自分で納得しました。多分我々はラー・ロウの語りを字幕付きで見てるんですよ。

 なのでルビが読みにくいですが(特に漢字)、そんな理由でこんなルビの振り方なのです、読みにくくてすみません。


 あ、実況のあとでこっそり「かね」にはルビを振りました。


 シャーフィ旅人は、ルキエーの人の感覚からすると「ルキエーの外から来るもの」というニュアンスです。

 日本語でいうなら「マレビト」的な感じでしょうか。外からやってきて、富を落としてゆく。なのでルキエーの人たちはシャーフィ旅人に優しいです。

 語り手のラー・ロウはシャーフィ旅人相手に案内(観光ガイド的なこと)をやって暮らしています。シャーフィ旅人はラー・ロウの文化をよく知らないという人も多いので、彼はそういう人たちと接することで、少し安心できるところもあるんだと思います。ルキエーでは、差別されてる訳ではないとはいえ、やはりラー・ロウの存在は目立ちますから。


 その後の「ある日静かにラーに戻る」を拾っていただけて嬉しいです。

 ベルノさんが「こうじゃないか」とおっしゃった辺りは、本当に意識して気を遣って書いていた部分です。

 精霊というものが実在して、それが本当に森を守っているという、ファンタジー的な世界観。ルキエーの人たちはその世界観の中で生きています。なので、ルキエーの人たちにとってはラーはいるものだし、ラー・ロウが死ぬというのはラーになったことと同義です。そして、ルキエーの人たちはラーの存在を感じることもできるのだと思います。

 一方で、現代日本人的な感覚で解釈をしようとするならば、ラー・ロウというのはある種の特徴を持っただけの人なわけです。「精霊」や「精霊の子」というのは、その特徴を解釈した結果の風習にすぎない、と見ることもできます。

 このお話では、そのどちらもが正解になるように書きました。わたしは現代日本人なので、ラー・ロウという存在をどうしても人として見てしまいますが、語り手のラー・ロウをはじめルキエーの人たちにとってはラーは疑いようもなく確かにそこに存在するものです。

 なので、どちらの解釈も合ってます。どちらの立場で読んでいただけても、嬉しいです。


 あ、あとあと、仕草! 仕草も言葉の一部で、言葉というのは文化や考え方が積み重なったものだと思うので、どうしても入れたかったところです。拾っていただけて嬉しい。

 ルキエーの人たちは森の中で暮らしてるんですよね。きっと、いろんな言い回しや仕草が森の動植物の何かから生まれてるんじゃないかな、と思います。


 ルキエー・オールの森の光景を面白がっていただけて嬉しいです。

 ルキエーという場所について最初に思いついた光景が、頭上にも足元にも森が広がっているのが見える、というものでした。一体どうやったらそんな光景になるんだ、と考えていった結果がこの森が広がる洞窟です。

 洞窟の中にも生活圏があるので、街も洞窟の中にあるだろう。森は精霊の場所なので、木の少ない場所の岩を掘ってそこで暮らしているんじゃないか、と考えていって出来上がったのがルキエーの街と森です。


 その後の、もう一人のラー・ロウとの会話。「子供のうちにラーに戻す」は、ベルノさんがおっしゃる通りで、つまりそういうことです。

 幼いラー・ロウを森の中に置いて、あの祈りの言葉をみんなで歌ったりするのだろうなと思います。あるいは、森の中で直接的に人でなくすような行為をする地域もあると思います。精霊の子は間違えて生まれてきたものなので、はやく森に帰してあげよう、ということなのかもしれません。

 この風習は、ソンユ・オクといった大きな街(外からの文化が入ってきやすい場所)ではマイルドになっていっているところですが、実はルキエーの奥の方にある小さな集落ではまだ残っていたりします。


 食事の前の祈りの言葉は、本編に出てきます。


第四章第二話 「いただきます」という文化

https://kakuyomu.jp/works/1177354054935110451/episodes/1177354054935722159


 ちなみに、この次の第四章第三話が飯テロ回です。キチュ料理も出てきます。キチュは立派な角を持つ鹿のような草食動物で、ルキエーではお馴染みの身近な食材です。そして森に感謝を捧げて食べる。


 巨木が倒れるような、という表現は、語り手の彼が持つ感情の激しさを彼自身の言葉で表現させようと頑張ったところです。


 蝶の行方も、言及していただけたの嬉しいです。最後の言葉も。最後の方は、何か語るのも無粋かなと思うので、ここまでにしようと思います。それでもここまでで、もうじゅうぶん語りすぎですね、きっと。

 こんなにいろいろと設定語りするつもりはなかったのですが、どうにも思い入れがあるのと、今もまだ本編が続いているので、なかなか冷静になれないでいます。この文章、何度書き直したことか。


 ベルノさんからも、リスナーの皆さんからも素敵なお言葉をたくさんいただけて、本当に嬉しかったです。

 最後の「異世界そのものを楽しむような文化そのものを楽しめるような」というお言葉は、まさにそういうものを好きだと思って書いたお話だったので、本当に本当に嬉しいです。




 ちなみに本編では、主人公がこんな異世界の各地域を旅してゆくお話です。この異世界へ転移してきた主人公は言葉がわからず、異世界の文化もわからず、ただ美味しいものを食べて綺麗な景色を見て、人に助けられながら、様々な地域を通り過ぎてゆきます。

 ルキエーではラー・ロウとも出会いますが、ラー・ロウの本当の意味を最後まで知りません(なので、本編ではずっと「ラーロウ」と表記されています。本編の主人公はそれが彼の名前だと思っているので)。本編の主人公から見たラーロウは面白がりでよく笑っていて、好奇心旺盛で、年相応に少年ぽい、友達のように接しやすい人です。

 本編の章終わりに付録として付いている「ガイド」で、読者だけが「ラーロウ」や「オール・アクィト」の本当の意味を知ることができます。そんな構造になっています(それがわたしが思う旅のエモさです)。

 なので、本編を読んでもラー・ロウのことやルキエーの風習についてはほとんどわかりません。ラー・ロウが同い年くらいの相手に力を抜いて笑っている姿が見えるだけです。あと、飯テロです。

 それでも良いよって方は、よろしければ本編をどうぞ。途中の一話だけ読むとか、つまみ食いも歓迎いたします。


旅をする──ドラゴンの少女と巡る異世界

https://kakuyomu.jp/works/1177354054935110451


 第四章と第五章に登場するラーロウが、『出来損ないの精霊の子』の語り手のラー・ロウです。

 ラー・ロウやオール・アクィトについては、第四章のガイドをどうぞ。


■ ルキエー・オール ガイド ■

https://kakuyomu.jp/works/1177354054935110451/episodes/1177354054935799914


 本編に登場する他の地域も、様々な人が暮らしていて、きっと様々な物語を持っている気がします。そのうちまた、このような形で番外編を書けたら楽しいだろうなと思っています。なんて思いながら、もう半年経ってしまってるんですけれど。

 何かちょうど良いきっかけ、ないかな。




 そういえば、この『出来損ないの精霊の子』という作品は、もともとは「異世界風土記」というサイトのイベント用に書いたものでした。テーマは「祝」でした。

 ぼんやりと頭にあったラー・ロウの物語を形にするきっかけになった企画です。


風土記系競作「祝」

http://still-in-noise.a.la9.jp/fudoki/kikaku.html


 異世界の文化や風習といったものがお好きな方でしたら、きっと好きな作品が見付かると思います。どれも素敵な作品です。

 どの作品も一万字以内、のはずなのですが、本当にもう世界が濃い。一万字と思えないほどの世界の広がりを感じ取れる作品ばかりでした。




 さて、改めて、楽しい読書実況でした。またタイミングがあれば懲りずに読書実況に応募したいなと思います。

 ベルノさん、リスナーのみなさん、ありがとうございました。


【読書実況】 出来損ないの精霊の子【夜見ベルノ】

https://youtu.be/3Gyxgvasy3U


ベルノさんツイッターアカウント

https://twitter.com/velno_yomi




出来損ないの精霊の子

https://kakuyomu.jp/works/1177354054935408770

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